持病があるわけではないが、働くことができない。43歳の娘は年金暮らしの81歳と78歳の両親に経済的に依存して生きるしかない。だが、両親の余命はわずか。「私は今後、どうすればいいのか」。家計相談を受けたFPのアドバイスにより一筋の希望を見出すことができた――。
薄暗いキッチンのテーブルに用意された食事
写真=iStock.com/Hanafujikan
※写真はイメージです

81歳と78歳の両親が他界した後、自分はどうすればいいのか

今回相談に来られたのは、働くことができずに自宅に引きこもっているという43歳の女性です。大学卒業後、いくつかの仕事をしたものの、どれも長続きせず、やがて就職が難しくなり、自宅に引きこもるようになってしまったというのです。

特に病気があるわけでもなく、障害年金の受給は望めません。今は81歳と78歳の両親と同居で生活に困るわけではありませんが、将来を心配して私に相談に来られました。

◆相談者の家族構成
相談者:田中 愛さん(仮名)43歳(無職)
家族:父親 健一さん(仮名)81歳(年金生活)
   母親 陽子さん(仮名)78歳(同上)

◆資産
・貯蓄額:約2000万円
マイホームはなく賃貸住宅

◆収入(老齢年金)
・父親:年220万円
・母親:年130万円

◆支出
・生活費:年約200万円
・住居費:年約96万円

ひきこもりや障害などで働けない子供を持つ家族の家計相談を多く受けています。相談に来られるのは、多くは子供の将来を心配された両親です。ただ、数は多くはありませんが、今回のようにひきこもりなどで働けない本人が来ることもあります。

話を聞くと、大学卒業後は一般企業に事務職で入社したとのことです。しかし、仕事にやりがいを見いだせずに、しばらくすると退職してしまったそうです。その後は他の企業に転職しましたが、そこも長くは続かずに転職を繰り返すようになってしまいました。それでも若い頃は次の仕事を見つけることにそれほど苦労はしませんでしたが、年齢が上がるとともに次の就職先を見つけるのが難しくなり、空白期間が長くなっていきました。実家暮らしだったこともあり、生活に困ることはなく、親からも口うるさく言われることがなかったために、徐々に働かない期間が長くなってしまいました。5年ぐらい前に、なかなか就職先を見つけることができずに、自宅に引きこもってしまうようになりました。

相談者はため息をつきます。

「今は親と同居なので何とか暮らしていけますが、将来どうなるのか不安です」

本人も、何とかしなくてはという焦りはあるものの、就職活動がうまくいかずに、すっかり自信を失ってしまったようです。