年88万円の保険料が44万円に下がった理由

前回は国民健康保険の保険料(国保料)を下げる3つの方法のうち、「所得を下げる」と「減額制度」という2つを紹介した。そして今回は、国保料を下げる3つ目の方法として、特定の職種の人が加入できる「国保組合」と「法人化」を取り上げたい。

国民健康保険は2種類ある。ひとつは居住地の自治体で加入する国民健康保険(以下、「市町村国保」)。定年退職者はもちろん、フリーランスや非正規職員、リストラで職を失った人などそのほかの健康保険に入れないすべての人が加入できる、最終的な受け皿でもある。

もうひとつは、業種ごとに組織される国民健康保険組合(以下、「国保組合」)だ。例えば「食品」や「小売(市場、スーパー、商店会などに属する店舗)」「衣料(販売・加工業)」「理容」「土建」「医師」「薬剤師」「芸能人」「税理士」など約160組合がある。

私も国保組合の中の「文芸美術国民健康保険組合(以下、文美国保)」に加入している。これによって3年前、市町村国保では年88万円の保険料だったのが、国保組合(文美国保)では44万円にまで下がった。

国保組合は所得に影響されない「定額保険料」を設定しているところが多いため、所得が高くなるほど市町村国保より安くなる。現在、市町村国保に加入している人は、自分の職業に該当する国保組合がないか、調べてほしい。

「平均年齢40歳」だから、一人あたりの医療費が安い

市町村国保と国保組合は各統計がまとめて行われていることが多く、個別の細かいデータが不明であるが、最新の調査で市町村国保は平均年齢が54歳、世帯主の職業は「無職」の割合が最も高く、全体の45%を占めていることがわかっている。一方で、国保組合の平均年齢は40歳。平均年齢が若いほど加入者一人あたりの医療費は安くなるので、保険給付費(自己負担額以外の費用)が抑えられ、それに伴い、保険料も市町村国保よりは抑えられるという面があるのだろう。

ただし難点は、国保組合にはそれぞれ独自のルールが設けられ、加入要件が厳しいことだ。私が加入する文美国保は、「文芸美術および著作活動に従事している個人事業主」を対象としている。加入するには書類提出を伴う審査があり、片手間で文美活動を行う人は対象ではないと聞いている。

同様に、他の業種でもそれぞれの基準がある。あくまで「職種のための国保」であるので、無職の人はもちろん、アルバイトで複数の職業を掛け持ちしている人は向かないかもしれない。