所得400万円台でも「市町村国保」より「国保組合」が安い

また文美国保に加入した3年前は前述した通り、年44万円の保険料だったのだが、今年はなんと年56万円。この3年で「12万円もの保険料増額」である。繰り返しになるが、所得に影響されない「定額保険料」のため、市町村国保のように私の収入が増えたから保険料が上がったのではなく、単純に保険料が年々上昇しているのだ。

つまり、国保組合と市町村国保の差が年々縮まっている。前年度の所得が低くなれば市町村国保のほうが安くなる可能性があるし、国保組合に加入した後も、市町村国保と比較して毎年保険料を見直したほうがいいだろう。

試しに私の昨年の所得(昨年は450万円)で居住地の国保に加入した場合をシミュレーションをしてみると、市町村国保では年約76万円。400万円台の所得でも、文芸国保と比べればまだ20万円も高いという結果だった。

東京国税局
東京国税局(写真=Rs1421/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

国保組合に入れない人や、複数の事業をもつ人は、ある事業を「法人化」するという手もある。最近は、フリーランスなどの個人事業主が設立する「マイクロ法人」が流行っているという。従業員や他の株主などが存在せず、個人事業主のための法人を指す。税金や社会保険料の節減を目的にしていると聞き、興味がわいた。

「マイクロ法人」なら、健康保険料はもっと安くなる

税理士の服部修氏(服部会計事務所代表)に尋ねると、たしかに「節税対策で個人事業主が法人化するケースはよくある」のだという。

「消費税は2年前の収入(売上)で決定することから、個人事業主として開業して2年間、そこから自分で法人を設立してもう2年間、合計4年間、消費税が免除されるケースがありました。今はインボイス制度が導入され、多少風向きが変わりましたが、それでも自分で課税事業者を選択しなければ、また売上によって法人化して2年間は消費税免除が可能です。2つ以上の事業をもつ人は、そのうちのひとつを法人化するということもできます」

また法人化すれば国保ではなく、社会保険に加入できる。

「そして自分が設立した法人から、自分に支払われる役員報酬を低額にしておけば、健康保険料はかなり安くなるでしょう」(服部氏)