1人でじっと思い悩むのをインテリの証しとする“信仰”は今も根強いが、多くは袋小路に至る。半面、体を動かすことでマイナスに振れた心の針をプラスに戻すという手法は、単純なようで実は奥深い。これを日々実践している2人のビジネスマンに話を聞いた。
大手メディア企業に勤務し、『出逢いの大学』等の著書がある千葉智之氏が勧めるのは、何とトライアスロン。誰にでもできるものなのか?
「僕がやっているのは距離の短いオリンピック・ディスタンス(遠泳1.5キロ、自転車40キロ、走り10キロ)。だいたい3時間くらいで完走可能です。アイアンマンレース(同3.8キロ、180キロ、42.195キロ)を思い浮かべて『すごい!』と尊敬してくれる方もいるから、話のネタにもなる」
実は、千葉氏も本番経験は2回だけ。09年7月、本田直之氏(レバレッジコンサルティング社長)主宰の会合に出席。いつの間にか、10月初頭の大会に初出場する羽目に陥った。
「フットサルをやっているので、走りと自転車はまあいいんですが、問題は水泳。長いこと泳いでいなかったから、練習しないと溺れ死んでしまう」
足の指を骨折したせいで、ようやくプールで泳ぎ始めたのが大会1カ月前。死ぬほど頑張ってわずか200メートル……。
「焦りました。マンツーマンの水泳教室に3回、あとは平日に東京体育館に通いました。泳ぐたびに50メートルずつ距離を延ばして、大会3日前にようやく1.5キロ。これで死なずにすんだ(笑)。足がつかない海に出るのは恐怖でしたが、何とか行ける自信がつきました」
500メートル泳げるまで体が慣れれば、後はどんどん距離が延びると悟った。
「ウェットスーツは当日初めて着用したんですが、あれを着ると体が浮くんです。すごく楽でした。完走したときは久々に達成感がありました。社会に出てから、まったく新しいことに挑んで“ゼロから1に”する機会はまずありません。自信につながりました」