悩む原因の9割は大したことじゃない
新しいことを始め、かつそれを続けるには、“外圧”と“小さな達成感”が大切だ、と千葉氏は強調する。
「1人だと楽なほうに流されてしまうし、そもそも強要されなきゃやってなかった(笑)。トライアスロンは、1人で練習してもちっとも面白くない。あの苦しい練習や達成感を共有する人がいるからできるんですよ。そういう集団競技のよさと、1人で目標設定できる個人競技のよさの双方を持ち合わせています。10キロの道もまず1キロから。小さな達成感を積み重ねていくことが大事で、これは仕事にもそのまま応用できます」
トライアスロン挑戦と同時に、ジョギングも始めた。都内のお寺の境内を通る4キロ半ほどのお気に入りのコースのほか、たまにチームで皇居の周囲を10~20キロ走っている。
「走るのは、夜ではなく昼間です。真夏の炎天下で額に汗をダラダラ流しているとき、一陣の風が吹く瞬間に最高の幸せを感じます。気分をプラスに持っていくには体を動かすのが最適。医学的な根拠は詳しくないけど、落ち込んだり嫌なことがあってもだいたいリセットされます。自分のお気に入りコースにある展望台や遠くの富士山を観れば『気分が晴れるに決まってる』と思い込むことにしています」
心身をリセットする装置として習慣づけておくわけだ。
「僕は悩まないタイプに見られがちですが、そんなことはない。心が嫌な状態にあると気が付いたら、まずその原因を考えます。原因は必ずあるし、それがわかると気持ちがスッと軽くなります。そもそも、原因の9割は大したことじゃないんです。本当に大変なときは、事故に遭わなかっただけいい、死にはしない、などともっとひどい例を思い浮かべればいい」
こうした行動や思考の習慣付けには相応に時間がかかるが、いったん身に付ければ、落ち込んだ気分を上げる強力なツールになりそうだ。