就活、婚活という言葉が世間を賑わせているが、シニアには「友活(ともかつ)」がブームになる気配だ。

日本人は友人との接触が少ない

日本人は友人との接触が少ない

友活とは、自分の生活圏に複数の友達をつくろうとする活動やその心構えを指す。朝のゴミ出しで顔見知りになった人に挨拶をする、近所のお店の常連になってみる、地域の催し物に参加する、などが一例だ。

なぜ友活のニーズが高まっているのか。聖路加国際病院精神腫瘍科医師の保坂隆氏は「背景には『核家族化』と『長寿』がある」と話す。寿命が延びたことで、男性はリタイア後の時間が長くなり、また女性は子育てが終わってからの時間が長くなったため、ひとり時間の充実を図る必要が出てきたわけだ。マンションなど孤立化しやすい環境も、友活のニーズを高めている。

友活は若いころの友達づくりとは趣が異なる。ちょっとした病気やけがで心細いが、遠くの親戚を呼び出すほどではない。そんなときに生活圏内に友達がいることの心強さが、非常に重要なのだ。「ひとり老後」を満喫するために、友活は欠かせないのである。

さらにいえば、友活は身体面にも効果があるようだ。保坂氏は「友活はソーシャルサポート(対人関係から受ける様々な形の援助)の輪を広げることを意味する」という。このソーシャルサポートが多い人ほど病気になる確率が低く、また、がんに罹患した場合でも病気の進行が遅いことがわかっている。

老後の備えの一つとして、まずはご近所づきあいから始めてみてはいかがだろうか。

(ライヴ・アート=図版作成)