自分が悪いのではないか、母親失格ではないかと考えてしまう

Aさんの話は続きます。

疲れて眠れるはずなのに、なかなか寝付けない。寝ても眠りが浅い気がする。その時決まって考えてしまうのは、このまま仕事と育児を両立していけるのだろうかということでした。いずれ子供は小学生となるが、勉強のフォローやPTAや保護者会の参加等々、今の生活プラスアルファの忙しさを思うとやっていけるだろうか不安しか感じないとのこと。結婚前は子供は2人欲しいと夫婦で話し合っていたが、今でこうなのだから、子供が2人になったら、生活が回るとは思えないこと。

ご主人は家事も育児も協力してくれているのに、こんなにいっぱいいっぱいなのは、自分が悪いのではないか、自分は母親失格なのではないかなどと考えてしまう。とにもかくにも、まずはしっかり寝ないといけないのに眠れない。Aさんの思考は負のスパイラルに入ってしまっているようでした。

手をつないで走る日本の小学生
写真=iStock.com/AzmanL
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「オン」が続くと自律神経が疲労困憊してしまう

会社での仕事モード、いわゆる「オン」の状態と、会社を出た後の「オフ」の状態の切り替えを、多くの人はメリハリとして考えています。

このオン状態は、緊張状態と考えることができます。ときに、職場以外でも気持ちのうえでの緊張状態が続いている人がいます。家事や育児などでせわしない時間を帰宅後も過ごしている人によくみられます。

そうした人たちは、常に精神的な緊張が高く、時間に追われているにもかかわらず、それを自覚していません。このような状態が続くことで自律神経が疲労困憊してしまい潰れてしまうことが少なくありません。

すると次第に、「普通のお母さんはできているのに私はできていない、できないのは私が怠け者だから」と思うようになり、それが続くと、やらなければならないことへの責任感、できないことへの罪悪感が積もり積もって、自責の念にとらわれてしまい、本格的に体調を崩してしまうのです。