仕事が終わらず延長保育を使っていたCさん

一方、Cさんの場合は、違う方法で自分時間を捻出するようにしました。

それまでCさんは、保育園の延長保育を、仕事がどうしても終わらない時に使っていました。しかし、いつもより遅く子供を迎えに行き帰宅した時は仕事でぐったり疲れているのに、子供を寝かせる時間までいつもより時間が短く、余計に神経がピリピリしてしまうとのことでした。イライラしてしまい、子供やご主人にも怒ってしまうことが多かったとのことです。

そこで、産業医の私はCさんに延長保育を仕事が忙しくない時に定時で帰れるときにあえてとってみることを提案しました。そして退社した後は、自分の好きなことで30分から1時間ほど時間をつぶしてみることをお願いしました。どんなことをしたいですかと聞いてみると、スタバでコーヒーを飲みながら雑誌を読んだり、ウインドーショッピングをしたり、ネイルのお手入れに行ったり、マッサージに行ったりといろんなことを思いつくようでした。それを語る顔は、疲労に満ちた顔ではなく、ワクワクした顔でした。

マグカップ
写真=iStock.com/Alina Rosanova
※写真はイメージです

延長保育をあえて忙しくない日に使ってもらった

数カ月後、Cさんが産業面談にまたいらっしゃいました。その後どう過ごしているか、忙しくない日の延長保育は使っているかを聞いてみました。Cさんは笑顔で、「何回か使ってみた、実際はスタバで雑誌を読んだだけだったが、ゆっくりとお茶を飲んで雑誌を読むなんてかなり久しぶりにできた」とおっしゃっていました。そしてその日は自分がゆっくりできたという満足感と延長保育を仕事ではないのに使ったという少しの罪悪感があり、いつも以上に家で家族に優しくできたと。結果、みんな笑顔で良い時間が過ごせたとおっしゃっていました。

延長保育をこのように使うことにはいろいろな意見はあると思いますが、このような使い方をしてご自身のタイムマネジメント、ストレスマネジメントをしている方を私はそれなりに知っています。