防衛ラインを突破し、40年ぶりの円安

為替市場で円の下落に歯止めがかからない。昨年10月に高市政権が発足して以降、為替市場で円安が加速している。これまで、1ドル=161円台が防衛ラインと見られていたが、6月末、あっさり162円を突破した。それは、1986年12月以来の約40年ぶりの水準だ。

対日外国投資委員会の初会合に臨む高市早苗首相=2026年6月29日、首相官邸
写真=共同通信社
対日外国投資委員会の初会合に臨む高市早苗首相=2026年6月29日、首相官邸

その背景には、何といっても、わが国の経済の地盤沈下がある。

わが国経済のプレゼンスが落ちていることに加えて、高市政権の影響もあり、金融の正常化が後手に回っている。海外の投機筋から見ると、円を売ってドルを買う取引は、大きな収益源にさえなっている。

インフレなのに積極財政を進める高市首相

国内では、人口減少により人件費は上昇傾向にある。海外では地政学リスクや主要国の政策によって、世界の供給網は不安定化し企業のコストは高まっている。

その状況下、高市政権はまだデフレ脱却型の経済政策に固執している。積極財政を進め、日銀の金融政策正常化にも難色を示しているという。これでは、海外投資家から政策の限界を見透かされるだろう。

現在の状況が続くと、国内からの資金流出が続くことが想定される。円売り圧力はさらに高まる可能性がある。それに伴い、輸入物価が上昇してインフレが加速するなど、わたしたちへのマイナスの影響は大きくなるだろう。国民の安心、安定した生活のために、政府の経済政策の見直しが必要になるはずだ。