専門家からは「1ドル200円」予想も

足元で、市場専門家の一部からは「目先は1ドル=170円近辺、中期的に200円程度までドル高・円安が進行する」との予想まで出始めた。経済政策への不信に加え、米国の金融政策が重要な転換点を迎えつつあることの影響も大きい。

イラン戦争の停戦合意により、米国などでインフレ懸念は低下した。それでも連邦準備制度理事会(FRB)は、物価安定には不十分とのスタンスだ。財政支出の増加や、サプライチェーン混乱の影響は大きいと考えられる。金融市場での、利上げ再開警戒感は高まった。それは、ドル買い・円売りの増加要因になるだろう。

円安に歯止めをかけるため、現在の経済政策の見直しは必要になるだろう。かつてアベノミクスを指示した専門家の一人は、「国内外でインフレ懸念が高まる環境で、デフレ脱却の政策を行うことは危険」との指摘まで出始めた。そうした指摘に政権は耳を傾けた方がよい。

半導体産業に的を絞った成長戦略を

政府の積極財政では、財政赤字の拡大や国債の増発につながる可能性が高い。特に、財源なき消費減税で、現役世代の将来不安が高まると、消費意欲は後退するだろう。そうなると、日銀の金融政策の正常化は難しくなる。日銀の政策変更が後手に回ると、投資家による円売りは増えることも想定される。

政権が取り組むべきは、地道に、わが国の潜在成長率を高めることだ。現在、世界的にAI関連の半導体産業の成長期待は高まっている。政府が主要企業や高等教育機関と連携して先端チップの研究開発、生産能力の引き上げ方針を明確に示せば、日本経済の成長期待は高まるだろう。

国内外企業による対日投資は増え、消費者心理も上向く可能性がある。政府は、的を絞った成長戦略を実行すべきだ。それによって、為替レートを安定させることを考えればよい。その対応が遅れると、財政不安を反映した悪い金利上昇、株価の調整、円急落の日本売りのリスクの懸念は高まるかもしれない。

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