NISA民は喜ぶが、預金の価値は減る

円の下落は、わたしたちにプラスとマイナスの両方で影響する。

円安のプラス面として、海外投資からの利得は増える。米国の株価の値上がりと円安による為替差益の両方を狙い、NISAを使う人は多い。

円安は、企業の業績にもプラスになることもある。円安が進むと、輸出からの収益は増える。海外に工場などの資産を保有する企業であれば円安が進んだ分、資産の評価額は上振れて業績はかさ上げされる。

それに対し、マイナスの影響も大きい。私たちが保有する円資産の価値が下落することを忘れてはならない。

また、日本はエネルギー資源や食料の多くを輸入に頼っている。7月初旬の時点で、イラン戦争によって原油価格は下落したが、国内で取引されるナフサの価格は年初から23%程度上昇したままだった。船舶航行なども不安定化し、コストは増えた。

その中で円安が進行すると、わが国の輸入物価は上昇しやすくなる。企業はコスト上昇に対応するため、販売価格を引き上げるだろう。塗料や接着剤、包装資材、肥料など広範囲に企業間の物価上昇リスクは高まっている。

64%の企業が年内に値上げを検討中

企業間の取引(川上)の値上げは、最終的な販売価格に転嫁される。住宅設備、食品、半導体や自動車や家電など、製造・物流や飲食や宿泊と産業界全体で値上げは鮮明化するはずだ。企業経営者のアンケート調査によると、年末までに64%程度の企業で値上げを計画しているようだ。

「値上げ」と書かれたニュースの見出し
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円安によるインフレの高まりは、わが国の経済にとって最も大きな脅威の一つといえる。4月まで実質賃金は4カ月続けてプラスだった(消費者物価指数の持ち家の帰属家賃を除く総合で実質化した場合)。春闘の賃上げに加え、高市政権のガソリン、電気・ガス補助金の影響は大きい。

しかし、補助金政策は、いつまでも続けられる政策ではない。しかも、総需要を押し上げ、物価上昇を助長する恐れは高い。円安の進行による輸入物価上昇が加わると、わが国のインフレは大方の予想以上に進行する恐れがある。特に、食料品や日用品の値上がりペースは加速し、個人消費は下押しされるだろう。