映画『ゴジラ-1.0』が世界的な大ヒット
相手が何者か。それがわからなければ手の施しようがない――。その際、腹を括って事に対処する者が出てくるか否かで事態は大きく変わってくる。
山崎貴が監督・脚本・VFXを手掛け、神木隆之介が主演を務める映画『ゴジラ-1.0』(東宝)が国内外で話題だ。
国内では昨年11月3日の公開から3月3日までの122日間で、観客動員数は約392万人、興行収入は60億1000万円という好調ぶりをみせた(興行通信社調べ)。また、今年度の日本アカデミー賞では、最優秀作品賞を受賞した。
海外でもこの勢いは変わらず。日本から1カ月遅れで公開されたアメリカでも、現地時間12月5日に興行収入1436万ドル(約20億9000万円)を超え(Comscore調べ)、34年ぶりに邦画実写作品の興行収入歴代1位を更新。「第96回アカデミー賞」では、邦画として初めて視覚効果賞にノミネートされるなど、俄然、ゴジラ強しといった様相を呈している。
その「強いゴジラ」が、もし、本当に日本に現れたなら、果たしてわが国の防衛力で対抗できるのか。日頃、国防など関心もない向きであれども気になるところだ。
もしゴジラが日本に現れたら…
そこで今回、「もし、日本にゴジラが現れたなら」という問いを、現役、元職の自衛官など関係者にぶつけてみた。彼、彼女らの話を聞けば聞くほど、わが国が危機に晒された際の課題が浮き彫りになってくる。
それにしても今回の取材は難航を極めた。そもそもゴジラは映画世界における架空のキャラクターだ。そのゴジラがわが国の領土(領海、領空を含む)で暴れまわるという、いわば「仮定の話」について、それぞれ官の立場で応えてほしいという相談である。
当初、彼、彼女たちは、みずからの立場上、「冗談でも応えられない」とその対応はにべもないものだった。
そこで私は、彼、彼女たちに申し訳ないと思いつつも、こう挑発した。「もしかしてゴジラが本当に現れた場合、自衛隊は、ただ指をくわえて見ているだけで、逃げるだけなのではないですか?――」と。
それでも挑発をいなす自衛官には、「どうせ警察頼みなんでしょ?」「海上保安庁でなければ対応できないですよね?」と、あえて、彼、彼女らの神経を逆撫でしてみた。