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衆議院議員 小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)
1981年生まれ。82年に両親が離婚。関東学院大学卒業後、米コロンビア大学大学院で修士号取得。米国戦略国際問題研究所研究員を経て、2009年衆議院議員初当選。父は元首相の小泉純一郎、兄はタレントの小泉孝太郎。


 

政界での人気はトップクラスで応援演説に引っ張りだこ。高支持率を誇った父・純一郎を彷彿させる言動は常に注目され、将来の総裁候補だ。

しかし本人は「元総理の息子だからって」という嫉妬を極度に警戒する。先月の総裁選では支持候補を事前に明らかにしなかった。自分の動きが影響することを避けるためで「身の程知らずな役割は演じない」との配慮。党の青年局長に就任し、地方支持者との懇親会も多い。後日、出席者には自ら電話をしてお礼をするという気の配りよう。その腰の低さと謙虚さは高評価だ。

メディアとの距離感は父親に学んだようだ。単独インタビューにはめったに応じない。なまじ露出を増やせば、ベールを剥がされ権威が崩壊することを察している。一方、時々求められるテレビカメラを前に各社の記者に囲まれての「ぶらさがり取材」には丁寧に応じる。「身の程」をわきまえつつも埋没しない、絶妙なバランス感覚が心憎い。

今年8月、自民、公明以外の野党6党が野田内閣への不信任決議案を提出。自公両党は野田総理の「近いうちに解散」を条件に消費税率アップで3党合意したため賛成せず退席した。しかし氏は党の方針に反して議場に残り賛成票を投じた。「解散の確約を取れるわけがない」と執行部を批判。自民党で賛成7人のうち1回生ではただ1人。強気な言動も父親譲り。最近まで「自民党はまだ野党でいい」と断言。「何も変わっていないから」だと言う。「変わらぬ自民党」にとっては、まさに救世主のような存在。

まだ31歳だが威風堂々。整ったマスク、爽やかで流暢な弁舌。小泉家4代にわたる世襲だが、新人としては完璧だ。しかし、人気だけならしゃぶりつくされ捨てられる。まだ先は長い。今後の実績と胆力を冷静に見極めたい。

(PANA=写真)
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