「決められる政治」を実行し、自公の協力を得て消費増税法案を成立させたが、その代償は大きく、民主党を分裂させた野田佳彦首相。党首会談で「近いうちに」国民に信を問うことを約束したが、そのとき民主党、日本の政治はどうなっているのか。
消費増税法案可決の大きな代償
12年8月10日、参議院本会議で消費税増税法案を含む社会保障と税の一体改革関連法案が可決され、成立した。
「消費税の引き上げは、2009年の総選挙のマニフェストには明記していません。深く国民にお詫びしたい」
議決後、記者会見で野田佳彦首相は開口一番、陳謝の言葉を口にした。
「政治生命をかけて」と明言して取り組んだ法案が難渋の末、実現を見たのだ。達成感と充足感は大きかったはずだが、高揚した様子はうかがえなかった。一方で失ったものも甚大だったからだ。
第一は、野田も認めるようにマニフェスト違反による国民への背信である。第二は、自民党との連携だ。総選挙で「歴史的な政権交代」を選択した有権者に対する裏切りであるのは間違いない。第三は、民主党を分裂させた。第四は、党勢の低迷と凋落を阻止できず、逆に加速させ、支持率低落、政権崩壊と党解体の危機という絶望的な事態を招来させた。
野田はそれだけの犠牲と代償を覚悟のうえで「今国会での増税法案成立」で突き進んだ。6月26日に増税法案が衆議院で可決される。国会を9月8日まで延長して参議院の採決に備えた。だが、衆議院の早期解散をもくろむ自民党と、解散先送りを狙って参議院の採決の先延ばしを図る民主党との綱引きが続いた。