日本もまだまだ捨てたものじゃない
――(野田数都議)石原慎太郎都知事が、12年4月に発表した「東京都による尖閣諸島購入計画」。あれからたった4カ月あまりで、寄付は、14億円、9万人(8月6日現在)を超えました。
本当にありがたい。やはり、先の東日本の大災害も引き金のひとつになって、国民の意識が変わったのを肌で感じます。国が動かないのなら国民が自ら日本を守る、という多くの人々の志をひしひしと感じますね。日本もまだまだ捨てたものじゃないなと、嬉しい思いでいっぱいです。
寄付金と共に手紙もいただいておりまして、中には「家族3人、裕福ではないですが、みんなで協議して1人1万円ずつ、合わせて3万円を寄付します」とか、「自分の村は非常に辺鄙な場所にあり、バスで1時間かけて町の銀行まで行きました。田舎の人間にも志のある人がいます。ぜひ、郵貯にも口座を設けてください」と手紙もいただきまして、大変感激しました。郵貯の口座開設に関しては6月に対応しました。
――改めて尖閣諸島を購入すると決意されるまでに至る経緯をお聞かせください。
そもそも、こうして尖閣諸島を巡って問題が起こること自体がおかしい。尖閣諸島の領有権に関しては、沖縄返還協定で解決している。佐藤(栄作)さんが総理大臣のときに沖縄返還が行われたが、アメリカが統治権を持っている時代に、尖閣諸島周辺の他国による漁業をほったらかしにしたんです。日本の漁船は入れないのに、台湾の漁船は船団を成してうようよいた。
では実際沖縄が日本に返還されたときに、その漁船がどうなっているのか。佐藤さんはそれを一番心配していた。私はオブザーバー的立場で沖縄返還交渉に関わっていたが、賀屋興宣さんが個人的に私淑していた(蒋介石の側近である)張群さんを通して蒋介石を説得した。でも実際どうなるだろうと思い、沖縄が返還された当日、真っ先に現地に視察に行ってもらったところ、台湾の漁船は1隻もいなかった。
こうしてしばらくは落ち着いていたのだが、だんだんと中国共産党政権が力をつけてくると、尖閣諸島は我々の領域だと、とんでもない横やりを入れてきた。あの当時から、あの辺り一帯での漁業というのは非常に漁獲が期待できる海域であって、高級魚が獲れるから、シナや台湾にとっては大きな利益を生んでいた。しかも経済が発展し世界の技術が進んでくると、海底資源という物の掘削が可能になってくる。
すると途端にシナ政府は尖閣諸島に強い関心を抱き出した。揚げ句、自国の領域だと主張までし始める始末。しかし、尖閣諸島のあの一帯は、先ほど述べた沖縄返還時にキッチリ日本の領域として条文でも認められている。つべこべ言うのなら、かねて日本が主張しているようにハーグの国際司法裁判所に出てきて主張したらいいのに、一向に出てこない。