民自が突き進む消費税率10%
野田は09年から財務副大臣、財務相を務めた後、11年8月の民主党代表選に勝って首相となった。代表選で消費税増税を明言し、就任後の9月、所信表明演説で「国家の信用が厳しく問われる」と述べ、財政再建路線を明確にした。
野田内閣は12年2月17日に社会保障と税の一体改革関連法案の大綱を閣議決定する。3月30日に「14年4月に8%、15年10月に10%」を内容とする消費税増税法案を国会に提出した。
野田は「政治生命をかけて今国会で法案成立」と明言して増税最優先の姿勢を打ち出したが、衆参ねじれの国会では法案成立には野党との連携が不可欠だ。自民党は10年の参院選で「消費税率10%」を公約に掲げた。野田は民自連携に照準を合わせ、それと重なる内容の法案を用意したのである。
自民党は10年の参院選でなぜ増税を公約に掲げたか。政調会長だった石破茂(元防衛相)が明かす。
「麻生太郎内閣で、09年に改正された所得税法の附則に『消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成23年度までに必要な法制上の措置を』と入れている。党内には、野党がいい子になってどうするんだ、選挙にならないと言う人もいたが、マジョリティにはならなかった。何分かで公約発表というとき、谷垣総裁、大島理森幹事長、私、財務金融部会長の林芳正さん、野田毅税制調査会長、党政権構想会議座長の伊吹文明さんで協議した。異論も出たが、私は『絶対に10%』と叫んだ。そこで、総裁が『これでいこう』と決めたのです」