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日本マクドナルドHD会長兼社長兼CEO
原田泳幸
(はらだ・えいこう)
1948年生まれ。東海大学卒。72年日本NCR入社。90年アップルコンピュータジャパン(当時)入社。97年4月にアップルコンピュータ(日本法人)社長。2004年日本マクドナルドHD副会長兼社長兼CEO。05年会長兼社長兼CEO。


 

日本マクドナルドHDは前期(2011年12月期)の連結純利益が132億円で上場以来の最高益。顧客からどれだけ支持されているかを示す既存店売上高は8期連続プラス。原田泳幸会長兼社長の経営改革の賜物と言える。原田氏が経営を引き継ぐ前のマクドナルドは深刻な経営不振に陥っていた。一時は安売り路線で「デフレの勝ち組」と言われたが、その後の値上げと値下げの繰り返しで顧客が離れ、03年12月期まで2期連続で最終損益が赤字に陥っていた。

原田氏の前職はアップルコンピュータ(現アップル)の日本法人社長。IT業界で30年以上のキャリアを持ち、就任時には「(コンピュータの)マックから(ハンバーガーの)マックへ」と話題になった。04年にトップに立つと、原田氏は外食の基本に立ち返り、まずは品質、サービス、清潔さの向上を徹底し、全店に店舗で注文を受けてから調理する新システムを導入。そのうえでコーヒーなどを「100円マック」として販売して顧客を呼び戻した。これを土台に大型バーガー「クォーターパウンダー」や、香りやコクを向上させた「プレミアムローストコーヒー」のヒットが生まれた。値上げも6回実施したが、顧客は離れず同社はV字回復を遂げる。

その同社が現在踊り場を迎えている。11月まで既存店売上高は8カ月連続で前年を下回った。4月以降100円メニューの拡充や高単価バーガー「世界のマック」の投入は、いずれも不発。7期ぶりの経常減益となった1~9月期の決算発表会見で、原田氏は「震災後、従来の予見が当たらなくなった」と説明した。宅配対応店やドライブスルーの新型店拡大、メニューや価格戦略の見直しで今回の変調の克服を図る。原田氏の真価が試される場面だ。

(PANA=写真)
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