野田佳彦首相がお疲れモードだ。11月初めの国会答弁では、「ことから」と言うところを2日続けて「ことことことから」「ことか、ことから……」と呂律が回らず、右手で頬を叩いたり首を傾げたり。野党の解散・総選挙の要求を拒否し、強気を貫く外面とは裏腹に、肉体的、精神的に疲労が溜まっているようだ。
「疲れのせいか、10月半ばごろから公邸に引き揚げる時間が早くなり、午後6時ごろに官邸での執務を終え公邸に戻ることが増えた。酒は公邸で1人淋しく飲むことが多く、タバコもホタル族で、夜は公邸の中庭に出て吸っている。好物の牛丼を宅配してもらい、公邸で食べている」(全国紙官邸詰め記者)
首相という仕事は、国家機密に日々触れ神経を使う一方、相談相手は限られている。しかも野田氏は10月の内閣改造の際に、側近の首相補佐官2人が官邸から離れたため「酒を飲んで愚痴をこぼす相手がいなくなった」(同前)という。
「愚痴の聞き役だった手塚仁雄首相補佐官は虎の威を借るタイプで、党内外の不評を買って官邸から追い出された。もう1人の側近の長浜博行官房副長官は入閣。2人はよく首相と酒を飲み愚痴を聞いてあげていたが、新たに補佐官に就任した川上義博参院議員は輿石東幹事長の側近。首相の監視役として官邸に送り込まれたようなもので、首相も下手に愚痴るわけにもいかないのです」(別の担当記者)
そんな野田氏が頼りにしている政治家がいる。官邸関係者が証言する。
「日本維新の会(橋下徹代表)の山田宏・元杉並区長です。首相と山田氏は松下政経塾の先輩後輩の間柄で同志的存在。首相は毎週2、3回は山田氏と電話で話しているようです」
次の総選挙で維新は民主党を押し退け衆院第二勢力に躍進必至。山田氏も次の総選挙で維新から立つ見込み。かつ野田氏の選挙区の千葉四区には維新の対立候補が立つという。本来なら山田氏は敵だ。
その山田氏に相談せざるをえないところに首相の孤独度がうかがえるが、
「山田氏は自民党の安倍晋三総裁とも近く、保守結集を目指しています。首相の電話も、単なる愚痴ではなく将来の保守再編をにらんだものかも」(先の関係者)
少しきな臭い匂いも……。