営業チームに日報は必要なのか。元プルデンシャル生命保険のトップマネジャーで営業コンサルタントの川村和義さんは「『日報を提出すること』が仕事になってしまっていないか。日報がなくてもメンバーの活動は把握できる。何のために日報を書かせているのかを振り返ることが大切だ」という――。(第3回/全3回)

※本稿は、川村和義『コミュニケーションを変えればチームが変わる』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。

パソコンで資料を作る人のイメージ
写真=iStock.com/SARINYAPINNGAM
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パワハラまがいの上司を反面教師にしたマネジャー

森田さん(37歳)マネジャー歴7年

投資用不動産会社の営業マネジャーとして、12名のメンバーを持つ。

メンバー時代には、親分肌で豪快な上司のもとで、ときにパワハラとも感じるマネジメントを受けてきた。その上司を反面教師とし、つねに穏やか、メンバー思いでありたいと心がけている。チームは社内トップの業績を上げ続けていて、自分のマネジメントに、とくに疑問は感じていない。

ある日社長から、「伝説のマネジャーと言われる人を紹介したいから、時間をつくってほしい」と言われた。川村の簡単なプロフィールを渡されただけで、面談の理由を森田が尋ねても「とにかく会えばわかるから」としか社長は答えない。いったいなんなんだ……⁉と思いながら、オフィスで川村を待つことになった。

営業は「自由であること」が大きな魅力の一つ

【森田】ところで、川村さんはマネジャー時代、メンバーの活動管理はどうされていたんでしょうか?

【川村和義(※本稿の著者。以下、川村と表記)一言で言うなら、ざっくりかな。

【森田】と言いますと?

【川村】森田さんがマネジメントしているのは営業パーソンですよね。その営業という仕事の魅力って、なんだと思いますか?

【森田】いろいろありますけど、直接いろんなお客様とお会いして、価値を提供できるってことですかね。

【川村】はい。それも一つの魅力ですけど、かなり優等生的な答えですね。それだけでメンバーのみなさんは頑張れますか?

【森田】いえいえ、やればやっただけ、お金も稼げますし……。

【川村】はい、もちろん大事なことですね。でも、それだけですか?

【森田】いえ、結果さえしっかり出していれば、時間も営業のやり方も自分の自由になるっていうのも大きいですね。

【川村】同感です。僕自身も若い頃から好きにやらせてもらっていたんで、営業マンは自由であることが大きな魅力の一つだと思っています。

【森田】川村さん自身が自由にやらせてもらったから、メンバーたちにも自由にやらせてあげたと……。

【川村】はい。もちろん、自由があれば果たすべき義務や責任があるのは大前提ですけど。

【森田】それは、もちろんそうですね。