※本稿は、川村和義『コミュニケーションを変えればチームが変わる』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
メンバーたちを思うように育てられない
香坂さん マネジャー歴5年
生命保険会社のセールスマネジャーとして、10名のメンバーを持つ。
セールスパーソン時代の成績はつねにトップクラス。マネジャーとしても数字にこだわり、そこそこの結果を残している。だが、メンバーたちを思うように育てられず、人の入れ替わりも激しく、チームの雰囲気は重々しい。数字にも陰りが見えてきた。
「女性支社長育成プロジェクト」の一環として会社からの要請を受け、始業前の勉強会〜朝のミーティングに参加し、その後、川村がコンサルティングをすることになった。期末の締め日まで残り1カ月となったその日、社内の空気はピリピリしていた。
「時間のムダ」と思うミーティングをなぜ続けるのか
【川村和義(※本稿の著者。以下、川村と表記)】ミーティングは毎回、今朝のような感じですか?
【香坂】はい。今日は月曜日なので、会議室で30分じっくりやりました。先週の一人一人の数字の発表もありますし、今週の活動予定と業績のヨミも一人一人確認したいので、時間を長めにとっています。他の曜日は毎朝10分程度ですけど。
【川村】他の曜日は、どうして10分なんですか?
【香坂】連絡程度で済ませて、なるべく早く外に出てほしいので。
【川村】なるほど。で、どうして毎日やってるんですか?
【香坂】えっ、うちの会社は昔からこうですから。
【川村】昔から……ですか。会社の慣例ってことですか。
【香坂】入社当時から、ずっとこうですから。
【川村】なるほど。香坂さんは営業メンバー時代に、その毎朝あるミーティングをどう感じていましたか?
【香坂】正直、時間のムダだなーと思うことも多かったです。「連絡事項と数字の確認だけなら、メールで十分なのに……」って。
【川村】ですよね。だとしたら、どうしていまは、メールだけで済まさないんですか?
【香坂】い、いや、私なりには、時間のムダだと感じられないようにやっているつもりなんですけど……。