間もなく100周年を迎える日本の中心駅が5年がかりの改装を終え、大正時代のエレガントな姿を取り戻した。駅舎内のホテルも営業規模を広げて再オープン。建物が記憶する「歴史と物語」を、ほんの少しのぞいてみよう。

昭和15年に見上げた赤煉瓦

クラシックな東京駅丸の内駅舎が帰ってきた。といっても、あの見慣れた姿とはいくらか様子が変わっている。

赤煉瓦の外装が美しい丸の内駅舎は、長らく「仮の姿」であった。太平洋戦争末期の空襲により3階の大部分が焼け落ちたため、やむなく2階(一部3階)建てに改築され、ドーム型の屋根は八角形の切り妻屋根に架け替えられていたのである。