ご利益を得るためには、まず仏様の種類とその違いを学ぼう。

お寺に安置される仏像には、如来(仏)・菩薩(ぼさつ)・明王(みょうおう)・天といった区別がある。教義のうえでは悟りを開いたブッダである釈迦如来や阿弥陀仏などの如来が中心となっているが、ご利益ということになると、明王や天が大活躍する。

明王は仏教が他の宗教よりすぐれていることを示すため、恐ろしく絶対的な破壊力をもった姿に造られる仏様。しかし、その力は迷いの心を打ち破り、邪悪なものを除くためのものと説かれる。天はインド古来の神様が仏教を守る護法神(ごほうじん)として取り込まれたもので、火や雷、川などの自然に由来するものや、武神が多い。

明王や天は如来や菩薩に比べると、レベルの低い仏様ということができる。しかし、その分、われわれ凡夫に近いわけで、儲かりたいとか勝負に勝ちたいといった現世利益の願いを頼みやすいということがある。

では、如来や菩薩は現世利益を聞いてくれないのかというと、もちろんそんなことはない。ただ、大金持ちになりたいといった自己中心的な願いではなく、どうしてもこれがかなわないと進退窮まるような危難など、心と体の苦しみを重点に救いの手を差し伸べてくれる。

如来の中でも薬師如来は別格で、諸病を癒す現世利益の仏様だ。ここでいう病は肉体のものだけではなく、心の病も含まれるし、迷い・悩みなども引き受けてくれる。また、観音や地蔵などの菩薩は、代受苦といって、身代わりとなって苦しみを引き受けてくれたりする。

このほか代表的な仏様のご利益を紹介しておこう。

文殊(もんじゅ)菩薩は知恵の仏。普賢(ふげん)菩薩(普賢延命菩薩)には滅罪と長寿のご利益がある。

不動明王は明王の中でも最高位の存在。あらゆる障害を除き、迷いを断ってくれる。

毘沙門天(びしゃもんてん)は代表的な護法神だが財宝神でもある。吉祥天はその毘沙門天の妃で、美と繁栄の神。弁才天は水の神であり学芸の神。財福の神として信仰されるときは弁財天とも書かれる。

鬼子母神(きしもじん)は訶利帝母(かりていも)ともいい、もとは人の子を喰う鬼神であったが、お釈迦様に諭されて安産・子育ての神となった。大黒天は日本の大国主命(おおくにぬしのみこと)と混じりあって財福の神として信仰されている。