目標を明確にすれば、やるべきことは見えてくる

この戦略を成功させるためには、「自分の目標や優先事項」を明確に理解していることが前提となります。

目標が明確でないと、何が重要なのか、何をすべきで、何をやらないべきなのかを、判断する基準がありません。そうなると、目の前のタスクを何となくこなし、結果として重要なタスクが疎かになる恐れがあります。これを機に、「やらないこと」を決定し、その結果得られる時間とエネルギーを最も重要なタスクに集中させてみてください。

このアプローチは、「やらなければならないこと」を見て感じるストレスを減らすだけでなく、自分がコントロールできる行動を選択し、時間とエネルギーを最大限に活用することを可能にします。ぜひ試してみてください。

一流は、「やらないこと」を決める
限られた時間と集中力をどこにフォーカスするかで成果が変わる

なぜ一流はメールの返信が早いのか

私は、これまで815社の業務改善を支援してきました。その中で39社に協力してもらい、人事評価の上位5%の社員(一流)と、上位40%(二流)、そして下位20%(三流)の社員のメール送信の傾向をそれぞれ調査・分析しました。

スマートフォンで、会社のメールをチェックするビジネスパーソンは年々増えています。チェック頻度は6年前に比べて2.3倍に急増し、平均で49分に1回ほどでした(*1)。意外なことに一流の社員は平均よりも少なく、63分に1回。むしろ仕事ができる人の方が、チェック頻度は少なかったのです。

メール
写真=iStock.com/champpixs
※写真はイメージです

1時間以上もメールをチェックしないと業務に支障が出るのではないか、と思うかもしれません。実は、一流社員の「違い」は返答スピードにありました。日程調整や資料の修正など返信が求められるメールに対して、一流社員の返答がダントツで早かったのです。

一流は、メールの受信時間から平均39分で返答していました。受信チェックは63分に1回にも関わらず、平均返答時間は39分ですから、チェック時に一気に返答していることが分かります。二流は76分、三流は185分と、明らかな差が出ました。もちろん、受信したメールの文字量や依頼内容の複雑さによって、すぐに返答できないケースもあるでしょう。「すぐに返せるものは、なるべく早く返す」という方が、実際に多いようです。しかし、一流社員はどのメールでもすぐに返信していたのです。

(*1)クロスリバー社調査、2017年3月〜2023年3月、対象者21,764名