仕事だけでなくプライベートの時短にもつながる
緊急度の高いタスクは、「本日中に提出すべき報告書」などのように、速い対応が求められるものです。しかし、緊急ではないが影響力の高いタスクこそが“成果と効率を共にアップすること”につながるため、一流は緊急度よりも影響力を重視します。
また、一流は「やるべきこと」だけでなく、「やめるべきこと」を決める基準も明確です。成果に直結しない活動、他者がより効果的に行えるタスクは手放す覚悟を持っています。
例えば、週に1回の内省で時間を浪費する習慣や、目標達成に不必要な会議、情報収集を見つけ出し、翌週には思い切ってやめる実験をしていました。やめる実験で問題がなければ、そのままやめ続けていたのです。影響力のある2つのタスクと、「やるべきこと」と「やめるべきこと」の基準を週の初めに書き出すという行動実験を7815人で2カ月実施した結果、「労働時間の削減につながった」と回答した人が77%もいました。
興味深いことに、実験者の59%が、家事や育児などプライベートでの時短にもつながったと回答しました。休み明けの時短は、仕事だけでなく私生活の充実にも直結するのです。
「やるべきこと」と「やめるべきこと」の基準を明確に持つ
「まずやることを決める」は二流の仕事術
仕事の初動とは、「始めの一歩を踏み出すための方針」のことを指します。作業内容をきちんと把握せず、具体的な戦略も持たずに作業を始めてしまうと、時間通りに終えることができません。気づかずに不要な工程を踏んだり、途中で作業をやり直すことになったりしてしまいます。
全体像を整理して「やることを決めてから始める」という人も多いですが、まだ一流とは言えません。予定を詰めすぎてしまい、想定外のことに対処できなくなってしまうこともあるからです。
例えば、経営会議に向けて入念に準備したものの、当日に発表時間を半分にするよう指示されて、重要なことを言い切れなかったりすることがあります。一流は、やらないことを決めてから始めます。仕事においては、「すべてをやる」ことが最善ではなく、ときには「やらないこと」を選択することが求められます。
これは、何が最も重要なのかを理解し、それに集中するための戦略なのです。例えば、社内会議用の資料作成を任されたとします。売上数字を社内に報告するための資料だったら、それ以外の情報や、装飾は不要です。また、前回の会議で使った資料を流用することができれば、作成時間は大幅に減ります。この場合、「凝った資料を作るのはやめる」と最初に決めてから、作成に取り掛かるのです。
このように、一流の取り掛かり方には、戦略が求められます。タスクが多いときほど、「やらないこと」を明確にすることが重要です。一流はこの原則を理解し、実践しています。