幸福な人は独自の基準がある

私たちがインタビューした幸福な人々はそんなものを気にしていないようでした。「彼女は私よりもはるかに物知りだ。だから私は平凡な人間に違いない」というように、他人の業績が自分の感情に影響を与えるわけではなかったのです。その代わりに、数学を勉強したり、料理をしたり、おしゃべりしたりしているとどれほど楽しいか、などと自分を判断するために、独自の内面的な基準を用いているようでした。

ソニア・リュボミアスキー『新装版 幸せがずっと続く12の行動習慣』(日本実業出版社)
ソニア・リュボミアスキー『新装版 幸せがずっと続く12の行動習慣』(日本実業出版社)

このような予備調査の結果に興味をそそられ、リーと私は比較について臨床検査をして、研究結果を強固なものにしようと決意しました。それから数年の間に私たちが発見したのは、「最も幸福な人々は他人の成功から喜びを得ることができ、他人の失敗を目の当たりにしたときは心づかいをする」ということでした。

一方で、典型的な不幸な人々からは、まったく異なる人物像が浮かび上がりました。不幸な人々は、同僚の業績や成功を喜ばずに意気消沈し、同僚の失敗や破滅を目の当たりにすると、同情せずに安堵あんどするのです。私は学生たちとさらに多くの実験を行ないましたが、本質的には同じ結果がでました。つまり、人は幸福であればあるほど、まわりの人との比較に関心を払わなくなるということです。またしても、幸せな人たちの習慣から学ぶべき例が研究によってわかりました。じつをいえば、たえず自分と人を比べることは、「考えすぎる」という、より広く行き渡っている習慣の一部なのです。

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