※本稿は、ソニア・リュボミアスキー『新装版 幸せがずっと続く12の行動習慣』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
幸せをずっと続けるには「習慣」にすることが必要
幸せになり、そして幸せがずっと続くには相当な努力と決意が必要なことを、すでにあなたが理解してくれているといいのですが。こう聞くと、落ち込んだり、不安を感じてばかりだったり、緊張しっぱなしだったりして、幸せになるために必要な努力をするだけのエネルギーがあるかどうか心もとない人は、がっかりしてしまうかもしれません。
でも、よい知らせをお教えしましょう。始めのうち、努力はかなり必要ですが、ときが経ち、何度も繰り返すうちに新しい振る舞いや行動が「習慣」になると、努力はさほど必要ではなくなるのです。
「習慣」は誰にでもあります。よいものもあれば、悪いものもあるでしょう。多くの人は「習慣」という言葉を、たとえば指の爪を噛む、親指をしゃぶる、髪の毛をねじる、会話をさえぎるなど、いらいらする態度と結びつけがちです。一方、健康的な「よい習慣」として、たとえば、どこへ行くにもミネラル・ウォーターが入ったペットボトルを持参する、リサイクルをするなどがあるでしょう。
このような行動に共通するものは何でしょうか? これらは文字通り「習慣的」と呼ばれる行動ですから、実行するために決心する必要がないのです。意図的な行為でもありません。私は朝、目を覚ましたとたんにベッドからでて、ランニング用の服に着替えます。「起きてランニングに行くか? それとも、このままベッドのシーツの下にいようか?」といつもはというか、まあほとんどは考えません。実際のところ、起きて着替えるまで何の決心もしていないのです。
「習慣」は行動を繰り返すことで生まれる
「習慣」は、行動を繰り返すことから生まれます。研究者の理論によれば、ある行動を繰り返すたびに、その「行動」と、それが起きる「状況」との間に記憶のなかで関連性が育っていくそうです。私の朝のジョギングを例にすると、「状況」は、鳴っている目覚まし時計、寝室、ドアのそばに置いてあるランニング用の服や靴など。繰り返すことで、「状況」的な合図(鳴っている目覚まし時計)が習慣的な行動(ランニングシューズを履くこと)を反射的に促して、行動は決意して、選択するという手順から、無意識に行なわれる手順へと変わっていきます。
これを幸福になるための方法に活かすなら、ポジティブな行動(たとえば、家族との食事を楽しむとか、つらい時期でも人生に感謝するなど)をもっと頻繁にとって、その行動(楽しむとか感謝することなど)と、あなたのまわりのきっかけ(家族との食事や日々の些細な問題など)とのつながりをいっそう強めることです。そうすれば、次に家族と一緒の時間をすごすとき、愛する人がそばにいるだけで喜びを味わえるでしょう。もちろん、行動ときっかけとのつながりができるには時間がかかりますし、それなりのトレーニングを要します。想像がつくと思いますが、「習慣」にするには、時間も忍耐も必要なのです。