BYDの躍進で中国が「世界一の自動車大国」に

2023年、世界の自動車市場の構図が大きく変化した。自動車市場のEVシフトは鮮明化しつつある。ついに昨年、中国はわが国を抜き世界最大の自動車輸出大国の地位に就いたようだ。昨年1月から11月、中国の輸出台数(中国汽車工業会の速報)は前年同期比58%増の441万2000台。わが国は同15%増の399万台(日本自動車工業会)。通年でも中国の輸出台数はわが国を上回る見通しだ。

比亜迪(BYD)EV小売店
写真=iStock.com/Robert Way
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中国の輸出増加を牽引したのは比亜迪(BYD)、米国のテスラなどEVメーカーだ。中国政府はEVメーカーに補助金の供与などを行ったこともあり、中国の電気自動車メーカーの競争力は急速に上昇した。EVのパーツ分野でも、世界最大の車載用バッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技(CATL)などがシェアを大きく伸ばした。

主要先進国を中心にEVシフトは加速する

そうした中国自動車メーカーの動きに対し、米欧の政府は警戒を強めはじめた。欧州委員会は中国の補助金政策に関する調査を開始した。中国など海外製EVを購入補助の対象外とする国もある。自国企業などへの補助政策を強化する主要先進国は増えるだろう。

今後、主要先進国を中心にEVシフトは加速するとみられる。重要な懸念は、わが国自動車企業の戦略だ。主要メーカーは、エンジン車からEVまで“全方位型の事業戦略”をとり続けている。その戦略で、中国のEVメーカーの動きに対応することは難しそうだ。わが国の自動車産業界がEV分野で中国勢に対抗できる体制を確立するか否か、わが国経済の中長期的な趨勢に大きく影響することは間違いないだろう。