男女格差の研究がノーベル賞を受賞
現在、アメリカでは広範な分野で女性が活躍しており、有力企業の幹部の女性の比率も増えている。私が初めて留学生として渡米した1960年代には、ニュースキャスターを務める女性は珍しい存在であったが、今や女性のほうが多いように思われる。
そのような今のアメリカ社会でも男女の賃金格差は完全には解消していない。高賃金でも拘束時間も長い上級職に就く女性が、子育てのためキャリアを中断せざるをえず所得が低下する問題がある。そして、その間に同僚の男性が先に出世してしまい、賃金・所得の差が持続していく。以上のようなメカニズムを研究して2023年度のノーベル経済学賞を受賞したのが、ハーバード大学のクラウディア・ゴールディン教授であった。アメリカの労働力に関する約200年分ものデータを用いて、賃金格差や女性の就業率が時代とともにどう変化していったかを、産業構造などの背景とともに包括的に説明してみせた。
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