ベテラン俳優たちのやりすぎが目に余る
さ、今年もやるよ、ワースト俳優。評価項目としては「主役としての引力・説得力不足」「劇中で浮いた過剰な演技・力不足」「キャラクターに違和感」「実力より権力と忖度のにおい(2023年ならでは)」を設けた。
さらに今年は「挽回の有無」という救済枠も用意。「この作品ではひどかったが、別の作品で上回る演技によって挽回した」と減点する方式だ。同点が多かったので、ワースト12に。結局は好みだけど、いつものこと。それではランキングへ。
やりすぎ・はしゃぎすぎが悪目立ちしたベテラン勢
12位 三石琴乃 「Get Ready!」(TBS) -10点
11位 吉田鋼太郎 「unknown」(テレ朝) -10点
10位 橋爪功 「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱から」 -10点
ベテラン勢が並んだのでまとめたが、同点であること、そして共通しているのは「やりすぎ」「はしゃぎすぎ」。これだけの手練れ熟年役者陣ともなると、演出とは別で、自分の意志でやっちまった感がなきにしもあらず。
12位の三石の役どころは、おそらく演出の堤幸彦に託されたであろう、奇天烈なバニースタイルの占い師・POC役。「セーラームーン」リスペクト、いや声優としての長いキャリアをリスペクトした呪文を唱える銭ゲバ占い師だが、物語には思ったほど関与せず。藤原竜也から金を巻き上げるコメディリリーフ。1ミリもふざけない主役と主軸の場面と比べると、相当浮いちゃった感がある。
「リコカツ」(TBS)で演じた、北川景子の母親役が初出演のわりによかっただけに、おふざけが悪目立ちしてしまった。
本田翼の生気を奪っていた
11位の鋼太郎は、もうなんというか、なれあいの「圭&鋼太郎劇場」に。「おっさんずラブ」の栄華を引っぱり、吸血鬼という架空のキャラもあいまって、やりたい放題の鋼太郎。笑える反面、割合の問題かなとも思う。鋼太郎の暴走を田中圭や高畑充希が止められないのも問題かなと。
もっと止めにくいのは、純粋な愛情が「過剰」を招いた10位の橋爪だ。主役の高橋一生を愛しすぎるあまり、もう「祖父と孫」みたいな状況へ。
亡くなった父親役で、息子にだけはその姿が見えるというファンタジーだったが、ナチュラルボーンおふざけの橋爪が生真面目な一生を巻き込む形に。逆にその愛情の深さに入り込めない本田翼がますます生気を失っていたような印象も。