「やらないことリスト」の作り方

自分がどのように時間を使っているかを洗い出し、そこから何を避けるべきかをリストアップすることが大切です。今まで当たり前のように行っていたことや、自分が負担に感じていたことも、「やらないことリスト」に含める対象にしなければなりません。以下に、押さえておきたいポイントを紹介します。

1 まず、「自分でやろうとしない」が大前提

まずは、「そもそも、やらなくていいこと」を洗い出します。次に考えるべきは、「他の人に頼めることはないか?」です。「頼める、頼めない」を考える前に、「他の人にお願いできたら、どんなメリットが自分にあるか」を具体的に想像し、リストに加えてみるのです。たとえば、他の人に頼んだことで得られる自分の時間を、どう使えるかを考えてみましょう。

2 「なぜ、やらなければならないのか」と自問自答する

「以前からやっていたから」とか「何となく」という理由でやり続けていることは、「やらないことリスト」の筆頭候補です。「その行為が、目標達成にどれほど貢献しているか」も合わせて、自分に問いかけてみましょう。自分自身と向き合い、ホンネで答えることが大切です。すると、本当に重要なことと、他人との約束事以外のことは、徐々に「やらないことリスト」に移っていきます。

たとえば、毎月購読していた雑誌。いつの間にか「雑誌を買わなくてはいけない」というルールが、自分の中でできてしまっているのかもしれません。しかし、ひょっとしたら、それが時間とお金のムダになり、肝心の雑誌が、以前ほど楽しみでなくなっていたことに気づくかもしれません。他にも、サブスクを契約していることが「動画を見なければ」というプレッシャーになっている……という話も、最近よく聞きます。

3 自分に対する正直さを持つ

自分が絶対にできないと思うことや、守れないことを無理に「やらないことリスト」に入れないでください。それは自分自身への不必要なプレッシャーになります。自分を理解し、優しく対話をすることが大切です。たとえば、仕事でSNSを使う人が、「プライベートでは、一切、SNSを使わない」という項目を「やらないことリスト」に追加しようとすると、その実行はかなり難しいかもしれません。最初から達成困難が見えている項目は、「やらないことリスト」には入れないほうが無難です。

4 具体的な行動を記載する

たとえば、「SNSを見ない」より、「この作業が終わるまでは、SNSを見ない」と具体的に決めるほうが、避けるべき行動をイメージしやすくなります。具体的な行動を決めることで、「無理なく続けられる」という心理的な安心感が生まれることもあります。

5 やらないことを視覚化する

避けるべき行動をメモしたりして、それを見える形にすることで、それを避ける意識がより強まります。それをデスクやPC、スマホの画面など、目につきやすい場所に貼っておきましょう。

6 「やらないことリスト」は定期的に見直し、更新する

時間が経つにつれて、優先事項が変わり、やらなくてもよくなることがあります。リストは自分の現状や環境、目標に合わせて、時には柔軟に更新することが大切です。

たとえば、新しい仕事を始めたとき、業界の最新のすべての情報を知りたいと思うかもしれません。でも、すべてのニュースを追っていると、他の重要な仕事に時間を使えなくなってしまうこともあるかもしれません。

そんなときは、「すべてのニュースを読む」を「やらないことリスト」に入れて、「自分の仕事に直接かかわる、重要な情報だけをチェックする」に切り替えてみましょう。

そうすれば、時間をもっと上手に使うことができます。

時間がたてば、自分達の状況や優先事項などは変わるものです。そのため「やらないことリスト」も時折、見直し、更新しましょう。

7 「やらない」習慣が身につくまでの時間は、ある程度かかると思っておく
飯田剛弘『やることを8割減らすダンドリ術』(大和書房)
飯田剛弘『やることを8割減らすダンドリ術』(大和書房)

初めて「やらないことリスト」をつくり、やらないということに実際にトライしてみると、不安や違和感を感じるかもしれません。ですが、これは当たり前のことです。

僕たちは、習慣の生き物です。時間をかけて変化するものだと理解し、まずは3日間続けてみてください。

それができたら、3週間、次に30日、3カ月と、「3」のつく目標を設定し、続けてみましょう。新たな習慣が身につき、効果を感じられると、初めの不安が満足感に変わってきます。

自分の時間を大切にするための「やらないことリスト」。はじめは戸惑うかもしれませんが、少しずつ習慣にしていくと、毎日の生活を自分でコントロールしているという実感がわいてくると思います。

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