「小学校のハロウィンは最高よ!」
東京・渋谷のハロウィンを訪れる若者の数は年々膨れ上がり、酔った参加者による器物損壊や残される夥しいゴミなど、問題も多い。
このクレイジーな渋谷ハロウィンは、アメリカZ世代の間でも知られ始めている。
しかし実はこのイベント、本場ニューヨークのハロウィンとはかなり違う。大きな点は2つ、文化的な違いと運営体制だ。これらの違いを比べると、今後渋谷が取るべき方向が見えてくるかもしれない。
まず最も大きな違いは、アメリカのハロウィンの主役はあくまで子供だということだ。
「ニューヨークの小学校のハロウィンは最高よ! まず学校には仮装していくのが当たり前。仮装コンテストもあるから、そのためにびっくりするようなコスチュームを着てくる子もいる」
と声をはずませるのはミクア。筆者が主催するインターFMのラジオ番組&ポッドキャスト「NY FUTURE LAB」のZ世代メンバーの1人だ。
「放課後はみんなでトリック・オア・トリートをして、お菓子をたくさんもらった。最高の思い出よ」
「大人になったらもうやらないよ。仮装もめったにしない」
トリック・オア・トリートはよく映画などにも登場するからご存じだろう。子供たちが「Trick or Treat=お菓子をくれないといたずらしちゃうよ」と言いながら、近所の家をまわる風習だ。
他のメンバーも口を揃えて「ハロウィンって最高!」と嬉しそうな表情になる。彼らにとってハロウィンは子供時代の最高の思い出だ。
「でも、トリック・オア・トリートしたのは15歳くらいまでかな。大人になったらもうやらないよ。仮装もめったにしない。仕事もあるしね」
アメリカのハロウィンは元々子供のためのお祭りだ。大人も職場によっては、仮装して通勤するのが許されるところもある。空港のカウンターなどでも仮装したスタッフが客を迎える。
そしてニューヨークには、毎年200万人を動員する世界最大のイベント「ビレッジ・ハロウィン・パレード」もある。しかしそれは、楽しかった思い出を再現する日、あくまで童心に帰る一日だ。
夜のパレードにも、大人は子供と一緒に参加する場合が多い。