日本人が「唯一の羽目を外せる日なのでは?」
これについてラボのメンバーに聞くと、複数人が渋谷の様子に否定的な反応だったが、日本のアニメが大好きなメアリーだけは「いつか渋谷のハロウィンに行ってみたい」と肯定的だった。
「日本人って秩序を重んじる国民性でしょう。ハロウィンはそんな彼らが、唯一の羽目を外せる日なのでは? たった一日くらい楽しませてあげればいいのに」
そしてこう続ける。
「興味深いのは、アメリカのハロウィンが子供向けのイベントなのに比べ、渋谷のハロウィンに参加しているのは大人ばかりだよね。だから東京のハロウィンはカッコいいと思う」
さらに外国人からみると、誰も仕切ってないのにこれだけの数の人が集まるという現象が、アナーキーでおもしろく感じるようだ。またアメリカではあまり見ない、アニメのコスプレが多いことも魅力だ。そういうこともひっくるめ、他にはない日本独自のイベントに感じられる。
ヒカルに「そういう外国人がたくさん来るから、色々と禁止になるんじゃない?」と指摘されたメアリーは、「たしかに、後に残るゴミだけはなんとかしたほうがいい。そうすればもっと若者もリスペクトされるのでは」と話していた。
アメリカ人にとってハロウィンは「危ない日」
もうひとつ覚えていたほうがいいのは、アメリカ人にとってハロウィンは基本「危ない日」だということだ。
いかに子供中心のイベントとはいえ、仮装した人に紛れて犯罪者が潜んでいても不思議ではない。だから学校も普段より早く終わるし、小さな子供たちのトリック・オア・トリートには親がついて歩く。ある意味そんな怖さも、ハロウィンの興奮を盛り上げる要素になっていた。
しかしそれも今や、ただのスリルとはいえなくなった。2017年、ニューヨークでハロウィン・テロ殺人事件が起きたからだ。
ハロウィンの午後、ハドソン川沿いの幹線道路の自転車専用路線にトラックが突っ込んだ。自転車に乗った人を次々にはねて暴走し、8人が死亡、子供を含む11人が怪我をした。過激派勢力の「イスラム国(IS)」に触発されたというイスラム教徒男性によるテロで、彼がこの日を選んだのもおそらく偶然ではあるまい。