イヤな上司との会話を乗り切るにはどうすればいいか。エンジェル投資家の田村耕太郎さんは「彼らはこちらが苦しむ姿を見るほど喜ぶため、『まったく効いていない』という姿勢を示すことが重要だ。そのためには『余計なことを言わない技術』を身に付けてほしい」という――。

※本稿は、田村耕太郎『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

オフィスで相手を指差すビジネスマン
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アホと戦うことは何も生み出さない

既存の体制の中で賢く立ち振る舞うか? あるいは体制をよりよく変えていくべく立ち上がるか? あえて二項対立の設定とするならば、私はやや前者の立場に立って前作のアホ本を書き、それが思わず広く受け入れられた。なぜなら、アホと戦うことは何も生み出さず、ただ精神を消耗するだけだからだ。

ただ一方で、特に正義感あふれる若い方々から「そんな風に皆がアホから逃げていては社会にアホがはびこりよくならない」という批判の声も届く。まさにその通り。既存の体制の中で、賢く振る舞っていると、その行為自体が既存の体制を強化してしまう。

賢く振る舞いながらもいつか力をつけて体制を改革しようと思っても、自ら強化してしまったその体制が自分の手足をもいでしまう。賢く振る舞う過程で作った貸し借りで、まともな恩義・仁義の心を持っていれば持っているほど何もできなくなる。

本音では皆がアホに対してアベンジャーズのように立ち上がって戦ってほしい。声を上げることの大切さは今の「世界の分断」や「地球温暖化」の問題を見る限りとてもよくわかる。アホと戦うのは若者の特権でもある。エネルギーも時間も豊富。そこで戦いに敗れ傷ついても、回復は早いし、致命的なダメージにならない点も若者の利点である。戦うことの意義や、戦いが思い通りにならないことも早いうちに学んでほしい。