沈黙に耐えられないときはどうするべきか

世界の超一流の人物たちと潜在的なビジネスパートナーとして会うと、大体の場合、彼らは感じよくニコニコして迎えてくれる。そして私にしゃべらせる。彼らは、こちらに話させるのがうまい。「余計なことを言わない技術」とはこういう一流の人間が身につけているものであると同時に、そういう人間に会いに行く人間が身につけておかないといけない技術なのだ。

沈黙に耐えられず、話さなくてもいいことを、べらべらしゃべることは、相手に与える印象もよくないし、交渉の現場だとしたら自分の立場も悪くなる。肝心なのは、嘘は絶対言わないこと。

しかし、本当のことは何でも言うのでもない。あえて「余計なこと」は話さないのだ。そうすると、沈黙は流れる。そんな時のこちらの様子も彼らはよく見ている。「余計なことを言わない」を心がけると、ニコニコしあいながら見合う時間が過ぎることになる。そこで、ジタバタせず、自然体でいることが相手に伝わるように振る舞うことが大事だ。

「目的意識」を明確にすれば余計な発言はなくなる

もちろん、私自身も過去には大物との一対一のプレッシャーを感じながら過剰に雄弁になり、言わなくてもいいことをたくさん話してきた。そこでたくさんの失敗もしたが、あることを意識することで、沈黙にも耐えられるようになった。そのあることとは、「目的意識」を明確に持つことだ。

田村耕太郎『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)
田村耕太郎『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)

この会合の目的は何か、どんなことが目的かをしっかりと意識することで、言うべきことが明らかになっていく。また、相手がこちらのことを調査しているように、こちらも徹底的に相手のことを調べ尽くす。そうすることで、質問すべき事柄も明らかになる。そして、心を強くして、沈黙を怖がらないように自分に言い聞かせる。

「何食わぬ顔」で「余計なことは言わない人」ほど恐ろしいものはない。逆に、常にギャンギャン吠えてるのは小物だと心得よう。いざとなったら徹底抗戦できるだけの武器を持ち、アホにいびられても平気な顔をしてつけいる隙を与えない。アホとの消耗戦を避けるために、覚えていてほしい原則だ。

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