リニア中央新幹線のトンネル工事で出る残土置き場としてJR東海が示した建設予定地について、静岡県の川勝平太知事が「深層崩壊などのリスクがあり不適格だ」と主張している。ジャーナリストの小林一哉さんは「深層崩壊などへの対策は行政の仕事だ。それなのに川勝知事はJRに責任をなすり付けようとしている」という――。
トンネル残土置き場「不適格」を繰り返す川勝知事
リニア中央新幹線南アルプストンネル静岡工区工事で、燕沢上流側に建設されるツバクロ残土置き場の位置選定に課題があるとして、静岡県は、「残土置き場の計画を見直せ」とJR東海に迫っている。
川勝平太知事は2023年8月8日の会見で、国交省の調査結果や一部の地質学者の見解によって、燕沢付近に「深層崩壊」が起きることからツバクロ残土置き場が不適格だと主張した。
8月3日に行われた県地質構造・水資源専門部会のツバクロ残土置き場の議論は、いくら何でも、今回の知事会見のようなデタラメな認識に基づくものではなかった。
川勝知事は深層崩壊の事実関係をねじ曲げた上で、常人には理解できない意味不明な話を持ち出して、記者たちを煙に巻くことでごまかそうとした。
県行政の役割を全く認識できていない
ところが、深層崩壊のためにツバクロ置き場は不適格だとする川勝知事のデタラメな理由に、複数の女性記者が「深層崩壊があるとその先にはどのようなリスクがあるのか?」「深層崩壊の危険性に対して静岡県の対策をしているのか?」など正当な質問を繰り出して厳しく追及した。
川勝知事は、女性記者たちの質問の意味を理解できなかったり、あるいは質問を意図的にはぐらかしたりして、「ツバクロ残土置き場が適地ではない」とだけを繰り返した上で、「深層崩壊の対策を行うのは事業者のJR東海である」など行政責任を逸脱した発言をした。
本稿では、反リニアに徹するだけで、ツバクロ残土置き場選定での事実関係を全く踏まえず、また静岡県行政の役割が何かを全く理解できない川勝知事の無能ぶりをわかりやすく伝える。