私たちの人生にはどんな意味があるのか。ストレス・マネジメント専門家の舟木彩乃さんは「人生に意味を求めると、どれだけ恵まれた人でも、生きることが虚しくなる。心理学者のヴィクトール・E・フランクルが言うように『人生はあなたになにを期待しているか』という問いを立てるといい」という――。

※本稿は、舟木彩乃『「首尾一貫感覚」で逆境に強い自分をつくる方法』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

夕暮れ時のビジネスマン
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自分より稼ぐ友人の話を聞くと…

フランクル心理学の重要なポイントの一つは、「人間は人生から問いかけられている存在」だということです。人生こそが私たちに問いかけている……と言われても、ピンとこない方が多いかもしれません。具体的な悩みを参考に、どういうことなのか考えていきましょう。

――Eさん(男性30代前半)のケース
比較的裕福な家庭で育ち、勉強もスポーツも恵まれた環境の中で取り組んできました。留学経験もあり、語学力を活かして有名企業に就職し現在に至っています。年収は、同世代と比べて高く、職場でも評価されていると思います。結婚を前提にお付き合いしている女性もいて、自分の人生になにか特別な不満があるわけではありません。

しかし、起業をして自分より稼いでいる友人の話、拠点を海外に移しSNSでプール付きの自宅を公開しているような人たちを見ると、心がザワザワしてきます。意味がないとわかりつつも、つい彼らと自分を比べてしまうのです。

一般的に見れば私の人生は勝ち組の部類に入ると思いますが、最近なぜか人生そのものが虚しくなり、自分はこのままでいいのだろうかと苦悶くもんしています。

Eさんは、自分の人生に大きな不満があるわけではないにもかかわらず、他人と自分を比べ始め、自分の人生を虚しく思うようになったようです。