顧客から個人的に贈り物を強要された場合、どうすればよいのか。人材育成コンサルタントとして、ハラスメント行為者へのカウンセリングを専門に行う松崎久純さんは「自分で事業をしていれば、どうするかは自分で判断することになりますが、会社に勤めていれば、会社や所属部門の慣行にしたがうことになるでしょう。組織には、この手のことをどう扱うか、暗黙的にであっても、おおよその決まりがあるものです」という――。

顧客から贈り物を要求されたら…

仕事をたくさんくれている顧客から、個人的に贈り物をするよう促されています。厚かましいので、それだけで腹立たしいのですが、このくらいの要求には応じるべきでしょうか――20代の会社員の方からのご相談です。

こうした要求をしてくる人は、残念ながらよくいるものです。あからさまで失礼な要求もあるのではないでしょうか。

私もある企業で私の業務を担当してくれていた人物(ここではA氏とします)から、何度も贈り物をせがまれたことがありました。

「松崎さんの地元、栗のお菓子で有名なのがありますよね」

「ウチの娘が食べたことがあって、とても好きだと話していたんですよ」

「おいしいんですよね」

「どんなものかと思いましてねぇ」

A氏は、20歳以上も年下の私に、こんなふうに切り出してくるのです。

贈り物
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相手からの要求に応えるかは自分で決めてよい

こういう要求をどう扱うかは、自分(たち)で決めればよいことです。

こんな要求には応じられないと無視するのも、相手の望む通りにするのも自由です。

自分で事業をしていれば、どうするかは自分で判断することになりますが、会社に勤めていれば、会社や所属部門の慣行にしたがうことになるでしょう。

組織には、この手のことをどう扱うか、暗黙的にであっても、おおよその決まりがあるものです。

相手の望みを受け入れる場合、前もって承知しておきたいのは、こういう相手は、ひとたび要求に応じれば、繰り返し求めてくることです。

前出のA氏にも、指定された栗のお菓子を秋のシーズンに贈ったのですが、しばらくすると、「あのお菓子は秋限定ではないんですよね」「春は春で、いろいろあるらしいですね」「どんなものかと思いましてねぇ」と言ってきました。

こうした要求は応じると、それで終わるのではなく、要求に応じてくれるものと見なされ、繰り返しになることが多いのです。そのことをあらかじめ想定して、どう対処するのかを判断します。

どんな神経をしていれば、こんな要求ができるのかと思うことは多いのですが、残念ながら、相手はそういう人です。

厚かましいとか、恥ずかしいという感覚を持ち合わせていませんから、こうした事柄は一人で抱え込まず、そうした事実があることを自社内の誰かに伝えておくことをお勧めします。