ロシア軍と傭兵部隊が味方同士で殺し合う
ロシア傭兵集団「ワグネル」を率いるエフゲニー・プリゴジン代表が、ウクライナ当局に対し、ロシア正規軍の配備位置を教えると持ちかけていた。米ワシントン・ポスト紙が5月、流出した米国防総省の機密文書をもとに報じた。
同紙によるとプリゴジン氏は、ロシア軍の位置を開示する見返りとして、東部ドネツク州バフムートからウクライナの部隊を撤収させるよう求めたという。
ワグネルは激戦地となったバフムートにおいて、激しい損耗を受けている。ロシア兵の命を差し出すことで、部隊の被害を軽減するねらいがあったとみられる。異例の申し出について同紙は、プーチン大統領が「反逆的な裏切り行為」とみなすおそれがあると指摘する。
プリゴジン氏は以前からロシア軍への不満を公然と並べ立ててきたが、苛立ちがついにピークに達したようだ。別の事例として複数の米メディアが、ワグネルの一部の傭兵部隊とロシア軍部隊とが4月、交戦状態になったと報じている。友軍同士で死者を出し合ったという。
米軍事メディアからは、プリゴジン氏とロシア軍司令官らのあいだに漂う不和は、そもそもプーチン氏が意図的に招いたものだとする分析も飛び出した。国内の2つの勢力を競わせることはプーチン氏お得意の手法だが、それによって友軍を非難し攻撃し合うという理に適わない事態が生じているようだ。
傭兵集団トップがウクライナに機密情報を流そうとしたワケ
ワシントン・ポスト紙は5月、プリゴジン氏が友軍部隊の位置の開示という「異常な申し出」を行っていたと報じている。申し出は1月下旬に行われており、同紙は「彼の傭兵部隊が数千人単位で死んでゆくなか」の出来事であったとも指摘する。