官僚や専門家の言いなりではいけない

2023年4月の統一地方選挙のなか、岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた。私の住んでいるアメリカでは毎日のように銃犯罪が起きるのに対し、日本は治安がよくて暮らしやすい国だと思っていた。それが2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件の記憶もまだ生々しいうち、政治家へのテロ行為が起きたことには心が痛む。

4月15日、岸田文雄首相が演説に訪れた和歌山市の漁港で筒状の物体が投げ込まれ、現場が騒然となった。
4月15日、岸田文雄首相が演説に訪れた和歌山市の漁港で筒状の物体が投げ込まれ、現場が騒然となった。(写真は目撃者提供。一部画像処理あり)(時事=写真)

アメリカでは国内の政治的対立が深まり、世の中がざわついている。21年の米連邦議会議事堂襲撃事件のように、トランプ元大統領と一部共和党の過激派が気に入らない選挙結果を暴力で覆そうとする、極端な動きが見られた。暴力ではなく投票で国の政治の方向を決められる民主主義がどれだけ大切なことかを、読者は改めて認識してほしい。

岸田首相とは会議で何度かお会いしたことはあるが、直接お話しする機会はなかったように思う。ただすれ違ったときの挨拶は、笑顔が素晴らしい印象だった。それもあって、ほかの政治家にもまして彼への親近感がわいた。この掲載号が発売するときにはG7広島サミットは閉幕しているはずだが、各国首脳にあの笑顔を見せることができれば、サミットは成功するだろう。