産業医の代わりをAIが務めることはできるのか。年間1000人以上の面談を行う産業医の武神健之さんは「私がよく受ける相談をChatGPTにしてみた。利便性はあるが、相談者へのさじ加減の利いた寄り添い方は、今のところ人間でなければできないようだ」という――。
ロボットの指と人間の指先でお互いにタッチ
写真=iStock.com/David Gyung
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産業医面談でよく受ける相談をしてみた

こんにちは。産業医の武神です。数カ月前からChatGPTが話題です。ユーザーの質問に対して、まるで人間のように自然な形で答えてくれるAI(人工知能)サービスで、今後、様々な職業から人間の役割がなくなっていくとも言われています。

最近は実際に、AIを利用したカウンセリングサービスなども出てきています。産業医やカウンセリングの仕事は、このようなAIに置き換わってなくなってしまうのでしょうか。

今回は、私が産業医面談でよく受ける相談を、実際にChatGPTに相談したいと思います。

まずは共感、優しい回答

ChatGPTへの質問1
「職場の上司が苦手です。そのせいで朝会社に行くのが億劫です。最近は夜中に目が覚めるようになってしまいました。どうしたらいいでしょうか?」

ChatGPTの回答1
あなたが職場の上司との関係でストレスを感じていること、そしてそれがあなたの生活に深刻な影響を及ぼしていることは、非常に困難な状況であることを理解しています。以下にいくつかのアドバイスをお伝えしますが、それがあなたの状況改善に少しでも役立てれば幸いです。

問題の特定上司との関係が苦手な理由を具体的に特定することが重要です。その人の態度、コミュニケーションスタイル、不公平な扱い、など具体的な問題点は何でしょうか? 問題を明確にすることで、解決策を見つけやすくなります。

フィードバックを提供適切なタイミングと方法で、あなたが感じている問題を上司に伝えることも考えられます。……(中略)……

サポートを求めるあなたの職場には人事部門やカウンセラーがいる場合、彼らに相談するのも一つの方法です。……(中略)……

ストレスマネジメントあなたが経験しているストレスを軽減するためのテクニックを学びましょう。運動、瞑想、深呼吸、ヨガなどが有効です。……(中略)……

プロフェッショナルなヘルプストレスが過度で、日常生活に深刻な影響を及ぼしている場合、専門家の助けを求めることを検討してみてください。……(中略)……

産業医の感想1

相談に対してまずは共感を示してくれています。優しいですね。実際に医師の診察よりもChatGPTの方が、回答情報の質や共感度など、さまざまな面でより優れているという研究結果があるのも頷けます。

共感を示さない医師や、いきなり薬を出そうとする医師もいる中、もう少し相談をしたくなります。