人事交流で「出島効果」が期待できる

Ridgelinez編、田中道昭監修『HUMAN ∞ TRANSFORMATION』(日本経済新聞出版)
Ridgelinez編、田中道昭監修『HUMAN ∞ TRANSFORMATION』(日本経済新聞出版)

【時田】そして、やはり多様性です。リッジラインズには富士通総研にいた社員が出向したり戻ったりしています。富士通総研はトラディショナルな富士通の中にあった1つの組織ですから、それほど多様性が高いとはいえなかった。ですが、リッジラインズで他社から来た優秀なコンサルタントとも同僚になって、見えてくる景色も変わってきたでしょうし、新しい経験を積んだ人は多いと思います。

江戸時代に唯一、オランダに開かれていた長崎の「出島」で蘭学を勉強した人たちになぞらえて「出島効果」と言ったりしていますが、やはり何がしかの影響を受けて変わっていく面は強いと思います。

ただ、12万人もいる富士通は母体が大き過ぎるので、100人、200人が出向したところで結果が大きく変わることは難しいのですが、行動変容を促すきっかけづくりの方がより重要です。トップからのメッセージが伝わるスピード感や事業の仕方などを変えていく機動力が維持できるかどうかが、これからの課題だと思っています。

【関連記事】
【第2回】社員は“マジメで勤勉”なのに、会社はアナログのまま…富士通の「DX請負人」が痛感した日本企業の重大な欠陥
「私は聞いていない」という上司はムダな存在…トヨタ社内に貼ってある「仕事の7つのムダ」のすさまじさ
「オレたちはこのままでいい」という空気を壊したい…楽天・三木谷浩史が「英語公用語化」にこだわる理由
なぜニデック本社は京セラ本社より5m高いのか…永守重信会長が語る「私が稲盛さんに絶対に勝ちたかった理由」
インボイス番号は「偽造で借りパク」ができる…インボイス制度導入で中小企業が強いられる地獄の確認作業