東京に人が集まるのに、なぜ豊かにならないのか

フィジカルAIは仕事を変え、企業を変え、産業を変える。しかし最も見落とされているのは、AIは国家の地理を変えるということだ。

筆者は2026年5月に『フィジカルAIの衝撃』(朝日新聞出版)を刊行した。そこで論じたのは、フィジカルAIが産業と企業をいかに書き換えるかであった。しかし本稿では、その議論をさらに一段高めていく。フィジカルAIは産業や企業を変えるだけでなく、国家の地理そのものを変える。そのことを、東京一極集中という日本固有の問いを通じて論じたい。

情報・資本・人材・意思決定がどこに集まるかは、技術によって規定される。農業社会では肥沃な土地と水源のそばに人が集まった。工業社会では港湾・鉄道・原材料の集積地に都市が生まれた。知識社会では情報と人材の密度が高い都市――東京・ロンドン・ニューヨーク――に経済の重心が移動した。技術が変われば、国家の地理は変わる。AIは今まさに、その転換点を作り出している。