動物性脂肪の摂取量は70年間で約5倍に

もちろん個人のレベルで飽食・過食を続ければ肥満となり、生活習慣病の発症リスクも高まりますが、このクイズはあくまで国民全体としては、食事由来のエネルギー摂取量が時代とともに大きく上昇していないことを示しており、これは食と健康の関係をとらえるうえで大変重要な論点となります。

1950年からの70年間のエネルギー摂取の変化を見ていくと、1970年代に一時期、1.1倍程度まで上昇したことはありますが、その後はおおむね変化がなく、むしろ減少する傾向が続いています。現在と比べて、1950年当時の摂取カロリーの算出方法はさほど厳密ではなく、統計値をそのまま単純に比較することには多少無理があるにせよ、生活習慣病患者の増加の原因が摂取エネルギーの大幅な上昇ではないことはたしかです。

それでは第二次世界大戦後、日本人の食生活の何が変化したのでしょうか。図表2では1946年時点での日本人の食事内容を100として、その後の推移を示しています。2018年まで突出して増えているのは動物性タンパク質(良質タンパク質)で、1946年と比べて3.5~4倍に上昇していますが、これは日本人の平均身長を伸ばすなど体格向上へと導いたと考えられます。

筆者は昭和30年代生まれですが、1964年の東京オリンピックの頃、テレビで盛んに流れていた「タンパク質が足りないよ♪」というコマーシャルソングは今でも鮮明に覚えています。中でも最も大きく上昇したのは動物性脂肪の摂取量で、この70年間でおよそ5倍強となっており、日本人の健康事情に大きな影響を及ぼしています。

40年間で精肉の購入量は2倍に増加

動物性脂肪は乳製品、畜肉(牛肉、豚肉、鶏肉等)、魚類から摂ることができます。魚に含まれる魚油についてはさまざまな健康効果が報告されていますが、魚介類の摂取量は年々減少しています。これについては水産資源の減少とそれに伴う価格の上昇も大きく影響しているでしょう。

図表に示したように、1965年からの40年間で2名以上の世帯での魚介類の購入量は25%減少しており、その一方で精肉の購入量は2倍に増加しています。筆者が大学生の頃、女子大学生に何を食べたいかとたずねて「焼き肉」と答える人はほとんどいなかったと記憶していますが(当時は親父食)、現在ではスリムな体型を維持している若い女性も何の躊躇ちゅうちょもなく焼き肉を食べに行きます。

この食習慣・食嗜好の変化が女性若年齢層で脂肪からの摂取エネルギーが高いという調査結果に表れています。