過去最悪の4928億円の巨額赤字を計上
「楽天モバイル」が20年春に鳴り物入りで携帯電話市場に参入してから、4月で丸3年。NTTドコモ、au、ソフトバンクに次ぐ第4の携帯電話会社は、市場活性化の担い手として期待されたが、大手3社の壁は厚く、業績不振にあえいでいる。
売り物だった価格破壊路線が破綻し、通信品質はなかなか改善せず、激安料金に胸躍らせた顧客の解約が相次ぐ。実店舗の大幅削減や要員のリストラを余儀なくされ、そのうえ幹部が巨額詐欺事件を起こしてブランドイメージは地に落ち……そして2022年12月期決算は過去最悪の4928億円という巨額の赤字を計上した。
楽天グループの総売上高は1兆9278億円と過去最高になったが、「楽天市場」などのネット事業782億円、「楽天カード」などの金融事業987億円の黒字を吹き飛ばし、グループ全体の連結決算は4期連続の赤字で、しかも3728億円と過去最大になった。
このままでは、三木谷浩史会長兼社長の肝いりで取り組んだ携帯電話事業が、楽天グループの屋台骨を揺るがす「大きなお荷物」になってしまいかねない。
春は毎年、入学・進級や就職で新入学生や新社会人が誕生するため、もっとも新規契約が伸びる季節といわれるだけに、反転攻勢のカギを握る新たな加入者の獲得に向けて、なりふりかまわぬ「作戦」を繰り出しているが、はたしてユーザーが振り向いてくれるかどうか。
曙光は見えなくもないが我慢の時は続きそうで、全社を挙げての奮闘が実を結ぶかどうかは予断を許さない。
「楽天経済圏」で囲い込むための大盤振る舞い
楽天モバイルは、年に一度の春商戦で、加入者にも新規契約者にも「おとく」な一大キャンペーンを張った。
まず、友人紹介キャンペーン。既存の契約者の紹介で楽天モバイルを契約すると、紹介者に7000円相当、紹介された契約者には3000円相当のポイントを付与する。1カ月あたり10人まで紹介できるため、紹介者は最大で毎月7万円相当のポイントをゲットできることになる。