「若者が若者のうちに結婚できない」深刻さ

防衛増税の話が話題ですが、今この時期の個人への増税は景気だけではなく、少子化を加速しかねないと危惧します。子育て世代への影響もありますが、それ以上にダメージを受けるのは若者たちです。

冬の公園で手をつないでいる日本人男女
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです

政府の対策は「ひとりで5人産め」というようなもの…人口減少の本質は少子化ではなく「少母化」である〉の記事にも書いた通り、少子化の原因は、婚姻対象年齢層の絶対人口の減少とそれらの婚姻数の減少でほぼ説明できます。いわば「若者が若者のうちに結婚できない」問題なのです。なぜ、若者の婚姻が減るのかの要因も多岐にわたりますが、そのひとつに経済環境は外せません。

そもそも、昨今の婚姻減少を「晩婚化」だと評する識者がいますが、それは正しいのでしょうか?

平均初婚年齢の長期推移を見ると、まだ皆婚時代だった1980年当時は、男性27.8歳、女性25.2歳だったのに対し、2020年は、男性31.0歳、女性29.4歳と男女とも年齢があがっているのだから「晩婚化」だろうというわけです。

実は「晩婚化」など起きていない

数字的にはそう解釈できるともいえますが、「晩婚化」というからには、年齢が遅くなっても結婚はするのでしょうか。だとすれば、なぜここ25年にわたって初婚数は減少し続けているでしょうか。多少の婚姻発生数の後ろ倒しがあったとしても、例えば10年単位で同数になるのでなければ、それは「晩婚化」とは言いません。

実は「晩婚化」など起きていません。「晩婚化」などという事実と反する言葉が一人歩きしてしまうと、婚姻減少の本質的な部分が忘れられてしまいます。

では、実際に、ファクトを検証してみましょう。

1980年から20年ごとの年齢別未婚人口に対する初婚達成率を男女別年齢別に比較したのが図表1のグラフです。初婚達成率とは、当該年齢ごとに初婚数を未婚人口で割ったものです。

初婚達成率をわざわざ計算したのは、通常の婚姻率は分母の人口が総人口であることと、再婚を含めると昨今の離婚率の高さから、正しい指標にならないからです。

【図表1】対未婚人口初婚率推移