そもそも「一生結婚するつもりはない」率が男女で急増
生涯未婚率(50歳段階の未婚率)が大きく上昇し、日本の“皆婚社会”が崩壊に向かっている――。2020年の国勢調査で明らかとなったこの点については本連載の1月連載分で触れたが、先日、新たな興味深いデータが発表された。
それは、2021年に行われた出生動向基本調査(社会保障・人口問題研究所)や社会生活基本調査(総務省統計局)である。これにより、日本人の男女関係のあり方や男女の結婚観が大きく変容していることが具体的にわかった。
出生動向基本調査(社会保障・人口問題研究所)では、結婚前の18~34歳独身者を対象にした実態調査をほぼ5年おきに行っている。その結果から、まず、結婚するつもりがあるかないかという基本的な意識の変化について、図表1に掲げた。
最も驚くべきポイントは、これまで、「一生結婚するつもりはない」と回答した独身者の割合は調査のたびごとに増えてきたのだが、2015~21年の増加が、男女ともにこれまでの増加幅をかなり大きく上回ったことだ。
男性は12.0%から17.3%への増加、女性は8.0%から14.6%への増加となっており、特に女性の増加が著しかった。
また、「いずれ結婚するつもり」という回答の割合は、1982年から97年にかけて低下した後、97年から前回調査の2015年にかけては、男は85%前後、女性は90%前後でほぼ横ばいであったのだが、最新の2021年には男が81.4%、女が84.3%とこれまでになく大きく低下している。
こうした動きから、結婚観はこの40年間に次のような3段階で変化しつつあると考えられよう。
② 1997~2015年 結婚したいけれどできない、あるいはしない
③ 2015~2021年 結婚したい → 結婚する気がない
このように、少し前までは、結婚したいけれどできない、あるいは結果としてしないという状況だったのが、今や、結婚したくないからしないというパターンがかなりの数を占めるようになったのである。この点は、態度の決まらない「不詳」の割合が急減していることからも裏づけられる。
以上、我が国の皆婚習慣が崩れつつあることが意識面からも明らかとなった点が注目に値すると言えよう。