専業主婦志向からキャリアウーマン志向へと大転換
次に、同調査が調べている、男性が期待する「女性のライフコース」と、女性が予想する「女性のライフコース」についての結果の推移を見てみよう(図表2参照)。
2015年までは、男性が女性に期待するコース、女性の自分について予想するコースともに、「子育て後の再就職」コースが最も多かったが、2021年には、「結婚・子育てと仕事の両立」が最多となった(女性の「非婚就業」を除く)。やはり子育て後の再就職の就業条件の不利な状況がより意識されるようになっていると思われる。男性も近年は給与が伸び悩み、俺に任せておけとは言えない状況になり、両立志向への転換が多くなったと考えられる。
専業主婦志向は、男女とも、低落を続けており、特に、男性の意識変化の幅が大きい。男性は、かつては女性よりかなり高い専業主婦期待があったが、今では、女性の予想と同レベルの専業主婦期待にまで急落した。代わって、増加しているのが、キャリアウーマン・コースとも呼ぶべき「結婚・子育てと仕事との両立」なのである。妻の能力を家庭に閉じこめておけないという意識が強くなった面もあろうが、同時に、女性にも働き続けてもらわないと家計が維持できないというのが男性にとっても偽らざる気持ちになったのだと考えることができる。
この他、目立っているのは、女性の予想における「非婚就業」コースの増大である。2005年には、「専業主婦」コースを大きく上回る15.6%に至り、2015年にはさらに21.0%にまで上昇し、2021年には何と33.3%に急増し、他の選択肢すべてを上回ってしまった。図表1では、女性の「一生結婚しないつもり」は14.6%(2021年)なので、未婚の「意思」より、実際そうなりそうだという未婚の「予想」が倍以上と大きく上回っていることになる。
DINKS(ダブルインカム・ノーキッズ)コースは、2021年に男性の期待で5.5%、女性の予想で4.9%となっており、それほど多くないが、過去最多となっている。
まとめると、男女ともに専業主婦志向からキャリアウーマン志向へ転換してきたというのがこの間の大きな意識変化であり、最近では、仕事のためには非婚を厭わないという意識が大きく女性をとらえるようになったと言えよう。