ダイエットを始める人が陥りがちな罠がある。内科医で日本ケトン食療法学会理事長の萩原圭祐さんは「ご飯を抜く糖質制限は、一時的に体重を落とせても、体を『飢餓状態』に近づける。筋肉量が減り、かえってリバウンドしやすい体になってしまう恐れがある」という――。
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「ご飯抜きの糖質制限ダイエット」の落とし穴

夏が近づき、薄着になる季節になりました。鏡の前で「こんなはずじゃなかった」と慌ててダイエットを始める方も多いのではないでしょうか。そのとき、多くの人が最初に行うのが「糖質制限」です。そして、よく行われているのが「ご飯を抜く」という方法です。

しかし、私は内科医として32年診療を続け、14年以上にわたりケトン食(低炭水化物・高脂肪の食事)を研究してきた立場から、安易な「ご飯抜きの糖質制限ダイエット」はあまりおすすめしていません。

大切なのは、一時的に体重を落とすことではなく、「太りにくく、痩せやすい体質」をつくることです。

私自身は、ケトン食の研究を始める前、糖質制限ダイエットを実践しました。

ご飯を一切食べずに生活したところ、1か月で3~4kgほど、みるみる体重は落ちました。ただ、その間は空腹感が強く、非常にストレスが大きかっただけでなく、肌が乾燥して、唇も切れました。そして、糖質制限を緩めた瞬間に体重はあっという間に元通りになりました。いわゆるリバウンドです。

実は、この現象は珍しいことではありません。

糖質制限を行った多くの人たちから、よく聞く話は、「最初は痩せるが、その後リバウンドを繰り返し、だんだん痩せにくくなる」のです。それは、なぜでしょうか?

痩せたのではなく「飢餓状態」と同じ

糖質制限ダイエットでは、定食のご飯だけを抜く方法がよく行われます。

確かに、ご飯お茶わん1杯は、糖質は約50gで、エネルギーは約250kcalになります。朝・昼・夕と抜けば、それだけで約750kcal減少します。30~40代の成人男性の1日摂取カロリーの目安は約2500kcalですから、1日の摂取カロリーは1750kcalになります。

これは、ダイエットで推奨される摂取カロリーなので、「糖質制限だから痩せた」のではなく、単純に摂取カロリーが減った結果として体重が落ちているケースが少なくありません。

頭では、ダイエットをしていることになりますが、体にとって、ご飯が食べられない急激なカロリー制限は「飢餓状態」と同じになります。これが問題なのです。

人間の体には、生き延びるための優秀な防御システムがあります。飢餓・怪我に強いと言われます。自然界には、そもそも、コンビニもなければ、病院もありませんので、その環境に適応して我々の祖先は進化したのです。