そもそも「ご飯は太る」は本当なのか
外来でも患者さんから、「先生、ご飯は炭水化物のかたまりだから体に悪いですよね?」と聞かれることがあります。日本は、ある時期から、ご飯を悪者にすることが多いのですが、本当にそうなのでしょうか?
データを見ていくと、事実は異なることがわかります。
2022年に厚生労働省が発表した『日本人の栄養と健康の変遷』によれば、2019年の日本の肥満者(BMI※30以上)の割合は4.6%でした。これは、他の先進国と比較してどうでしょうか? アメリカ42.8%、イギリス28.0%、ドイツ16.3%(2017年)、フランス14.4%、イタリア11.0%と、明らかに低い水準なのです。
※肥満の指標として用いられる体重〔kg〕を身長〔m〕の二乗で割った値のこと
日本人は、高度経済成長期以降、食生活の欧米化とともに、ご飯を食べなくなってきました。もし本当に「ご飯を食べるから太る」のであれば、日本人は昔より痩せていくはずです。
ところが実際は逆でした。米の摂取量が減少する一方で、日本人男性のBMI25以上の軽度肥満の割合は2007年まで上昇し、その後も25%を超えた状態が続いています。
つまり、「ご飯を食べるから太る」のではありません。ご飯を食べていた日本人が圧倒的に痩せており、ご飯を食べなくなってから逆に太ってきているというのが事実なのです。
悪いのはご飯ではなく、「食べ方」だった
2020年に発表された多目的コホート※の結果では、食物繊維摂取量が多い男女ともに、死亡リスクが低い傾向が示されています。
※特定の集団を一定期間追跡し、その集団の生活習慣や健康状態を観察する研究
昔の食卓では、ご飯に加えて、お味噌汁、豆腐や納豆、焼き魚、海藻、漬物などが並んでいました。一方、現代では、忙しい朝に、菓子パンや食パンだけで済ませている方も少なくありません。そこにジャムを塗り、砂糖入りのカフェオレやジュースを合わせる。これでは、糖質が過多になり、たんぱく質や食物繊維、ミネラルは不足しやすくなります。その結果、いわゆる腹持ちが悪くなり、午前中に甘いものが欲しくなったり、昼食に食べ過ぎたりします。
本来の和食は、ご飯に、納豆、卵、お味噌汁、魚、豆腐、海藻などが組み合わさり、血糖値の上がり方は緩やかになり、満腹感も持続しやすくなります。結局、ご飯が悪者なのではなく、その前提となる食事バランスが崩れてきたことこそが問題なのです。
では、失敗しないダイエットには何が必要なのでしょうか。
重要なのは、体が飢餓を感じないように適切なカロリーを確保することです。そして、筋肉量を維持するために十分なたんぱく質を摂取することも欠かせません。さらに、不足するエネルギーは脂質、特に中鎖脂肪酸(MCT)などを活用して補うことが大切です。中鎖脂肪酸はココナッツオイルなどに豊富に含まれています。

