カロリー不足で筋肉が減るリスクも
そのため、飢餓においては、体は、一気に省エネモードへ切り替わります。腎臓は、貴重な糖をできるだけ再吸収し、尿中に無駄に排出されないようにします。糖質が摂取されないので、筋肉は分解されてアミノ酸が取り出され、それを材料に、肝臓で糖を作る「糖新生」が活発になります。そのため、糖質制限ダイエットでは、大切な筋肉が減ってしまうのです。
一時期、よく行われた16時間ダイエットでも、同様に筋肉量が減少することが報告されています。
筋肉は基礎代謝の大部分を担っています。筋肉量が落ちると、日常生活で消費するエネルギーが減ってしまいます。さらに、筋肉には、食事でとった糖を体の中に取り込む大切な役割があります。その状態で、糖質制限をゆるめて糖質を多くとると、エネルギーとして使いきれなかった糖は余ってしまいます。
余ったエネルギーは中性脂肪として肝臓にたまり、脂肪肝につながることがあります。脂肪肝になると、肝臓の働きにも影響が出ます。本来、インスリンは血液中の糖を体に取り込ませるためのホルモンですが、肝臓に脂肪がたまり炎症が起きると、このインスリンが効きにくくなります。これが「インスリン抵抗性」と呼ばれる状態です。
リバウンドは意志の弱さではなく体の仕組み
インスリンが効きにくくなると、糖をエネルギーとしてうまく使えず、さらに余った糖が脂肪として蓄積され、余計に脂肪肝が進んでしまいます。そのため、糖質制限をゆるめた途端に体重が戻りやすくなったり、以前より太りやすくなったりするのです。
つまり、安易な糖質制限ダイエットを何度も繰り返すほど痩せにくくなるのは、意志が弱いからではありません。筋肉量の低下から、脂肪肝が引き起こされ、炎症によりインスリンの働きが低下するなど、体の仕組みが関係しているのです。
大切なのは、糖質を減らすことではなく、体がどのようにエネルギーを使い、脂肪をため込むのかという仕組みを理解することです。痩せるためには、体の仕組みに合った方法で、無理なく続けられる食事と生活習慣を整えていくことが重要です。

